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「通勤手当廃止」40歳会社員に提案する二つの対策

岩城みずほ・ファイナンシャルプランナー
 
 

 新型コロナウイルスの感染拡大で在宅勤務が広まる中、通勤手当の支給を打ち切る企業が出ています。会社員のA太さん(40)も春以降、在宅勤務が中心となり、会社がこのほど通勤手当の支給をやめました。私は、その影響と対策についてA太さんから相談を受けました。

将来の年金額に影響

 通勤手当は、電車などの定期券代を会社が支給するもので、給与に位置づけられます。原則として所得税・住民税の課税の対象にはなりませんが、厚生年金などの社会保険料を決めるための「報酬額」には含まれます。そのため、通勤手当の額によって将来の年金額に影響が出る場合があります。

 A太さんは郊外に住んでおり、通勤手当は月約2万5000円でした。これまで、通勤手当を含めた「標準報酬月額」は36万円(22等級)でしたが、通勤手当がなくなったことで33万5000円(21等級)に下がります。

 支払う厚生年金保険料は月3万2940円から月3万1110円になり、年間では2万1960円減ることになります。仮に、A太さんの現在の年収が今後20年間変わらないとした場合、通勤手当があるケースと比べて、将来の年金額は年約2万6000円減ります。それが一生涯続くため、影響は小さくありません。

“通勤時間”を有効に

 通勤手当の支給は会社の方針で決まるので、従業員はどうすることもできません。そこで私は、通勤手当がないことをベースに、A太さんに二つのことを提案しました。

 一つめは、これまで通勤にあてていた時間を使って、語学の勉強や資格の取得に取り組み、スキルやキ…

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ファイナンシャルプランナー

CFP認定者、社会保険労務士、MZ Benefit Consulting 代表取締役、オフィスベネフィット代表、NPO法人「みんなのお金のアドバイザー協会」副理事長。金融商品の販売によるコミッションを得ず、顧客本位の独立系アドバイザーとして、家計相談、執筆、講演などを行っている。著書に「結局、2000万円問題ってどうなったんですか?」(サンマーク出版)など多数。