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早大総長が苦言「企業は自分の頭で考える学生重用を」

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早大の田中愛治総長
早大の田中愛治総長

 ポストコロナ時代の大学教育はどうあるべきか。今上期、オンライン授業を全面的に導入した早稲田大学の田中愛治総長に話を聞いた。【聞き手=市川明代/白鳥達哉/稲留正英・週刊エコノミスト編集部】

田中愛治・早大総長に聞く(下)

オンラインで「しなやかな感性」育めず

―― 早稲田は、「たくましい知性」と「しなやかな感性」を標榜しているが、オンラインでそれを育むことは可能か。

■「たくましい知性」とは、コロナや地球温暖化など、人類が直面している未知の問題、答えのない問題に、自分なりの解決策を考えて挑戦する思考力を示す。学問は文字が誕生してからの過去5000年の人類の経験や知恵のエッセンスだ。そこには未知の問題への回答はないが、過去の人類の経験が詰まっており、その学問を基礎に、自分なりに未知の問題の解決策を考えることが重要だ。それは、オンラインを通じてでもある程度は可能だろうが、最後はやはり対面での熟議が必要になるだろう。

 さらに、「しなやかな感性」を育むことはオンラインでは難しい。これは、異なる国籍・人種・民族・言語・文化・価値観・性別・性的指向などを持つ人々の考え方を理解し、広い視野から物事の解決策を考える感性のことだ。留学してこそ、「しなやかな感性」は身につくと思っている。例えば、授業で隣に、イスラム教のスカーフを被った学生がいて、寮で一緒に住んでいたら夕方何時かになると、西の方を向いて拝むのを見て、その学生の文化や宗教を感じとる。そうした体験が「しなやかな感性」を養うだろう。

 早稲田には8000名もの留学生が毎年来ていて、マルチカルチュアルな教育環境があるから、かなり「しなやかな…

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