ニッポン金融ウラの裏

コロナ長期化で「資本不足に陥る?」銀行の選択肢

浪川攻・金融ジャーナリスト
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日経平均株価の終値を示す電光掲示板=東京都中央区で2020年11月11日午後3時3分、吉田航太撮影
日経平均株価の終値を示す電光掲示板=東京都中央区で2020年11月11日午後3時3分、吉田航太撮影

 東京株式市場で日経平均株価が29年ぶりの高値となるなど、株式相場が大きく上昇している。そのなかで金融業界では、メガバンクをはじめ大手銀行による資本強化策が今後の焦点となりそうだ。背景に新型コロナウイルス問題があることは言うまでもない。

 現状、わが国の主要銀行や大手地銀の自己資本比率は、国際的に統一された基準、あるいは国内で定められた基準を達成している。これは、現時点では銀行としての財務の健全性が十分確保されていることを意味している。

 その一方で、新型コロナ感染症の広がりと、経済面へのダメージは深刻化するばかりだ。企業の2020年7~9月期決算をみても、航空、鉄道、流通などの主要産業で赤字が膨らみ、業績悪化が一段と深刻になっている。

銀行の財務体質強化が急務

 この先、荒波を乗り越えるため企業の構造改革や業界再編を迫られる局面がくる可能性がある。その場合、借入金の条件変更や、新規融資といった支援が銀行に求められるはずだが、そうした要請には、銀行の財務体質に余裕がなければ対応できない。

 欧米諸国では、配当などによって銀行から外部に資金が流出することを抑制させる動きが出ている。そうしたなか、金融当局のある幹部は「産業界に大きな構造調整が生じる事態を見すえ、銀行からの資金流出の抑制にとどまらず、体力強化に向けた資本強化も俎上(そじょう)に載ってくる」と話す。

 わが国の主要な銀行は、格付けが「シングルA」かそれ以上の高い水準にある。この水準を維持し、さらに引き上げることが国際業務の展開にも重要な要素となる。深刻化する経済環境に対応するため、この面からも資本強化策が必要になりそうだ。

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浪川攻

金融ジャーナリスト

1955年、東京都生まれ。上智大学卒業後、電機メーカーを経て、金融専門誌、証券業界紙、月刊誌で記者として活躍。東洋経済新報社の契約記者を経て、2016年4月、フリーに。「金融自壊」(東洋経済新報社)など著書多数。