人生100年時代のライフ&マネー フォロー

密回避で人気の「自転車通勤」保険加入はすでに常識

渡辺精一・経済プレミア編集部
 
 

 新型コロナウイルス対策として自転車が注目されている。人との接触を避けることができる通勤・通学手段として利用が増え、健康向上に役立つことからも人気を集める。そこで注意したいのは交通事故リスクへの備え。加害者になると高額の損害賠償を求められるケースがあり、保険加入を義務化する自治体も増えている。

自転車販売も「快足」

 au損害保険が2020年6月、東京都内の自転車通勤者500人に行った調査では23%がコロナ流行後に自転車通勤を始めた。うち96%は「公共交通機関の通勤を避ける」を理由に挙げた。

 自転車の売れ行きも好調だ。自転車販売チェーンあさひの20年3~8月期の売上高は391億円と前年同期比15%増。4~5月は店舗休業の影響で前年割れとなったが、6月以降需要が急増した。外出自粛のなか、運動不足の解消など健康意識が高まったことも大きいようだ。

 政府も近年、交通混雑の緩和、温室効果ガスの抑制、健康増進などに役立つことから、自転車利用促進策を進めており、17年には自転車活用推進法が施行された。新型コロナ対策としても通勤・通学への利用を促し、拍車がかかっている。

 一方、自転車が加害者となる重大事故も目立つようになり、社会問題化している。自転車がからむ交通事故は19年で約8万500件と09年比で半減したが、「自転車対歩行者」の事故は19年で2831件とほぼ横ばいだ。

 自転車が加害者となった事故では高額の損害賠償を命じる判決も相次ぐ。最高額は9521万円で加害者は当時11歳の小学生だった。

 万一、家族が加害者となり、1億円近い賠償を求められても、支払うことができなければ自己破産し、被害者側…

この記事は有料記事です。

残り1376文字(全文2074文字)

経済プレミア編集部

1963年生まれ。一橋大学社会学部卒、86年毎日新聞社入社。大阪社会部・経済部、エコノミスト編集次長、川崎支局長などを経て、2014年から生活報道部で生活経済専門記者。18年4月から現職。ファイナンシャルプランナー資格(CFP認定者、1級FP技能士)も保有。