熊野英生の「けいざい新発見」

AIとデジタル化の進展で「30年後になくなる職業」は

熊野英生・第一生命経済研究所 首席エコノミスト
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 20年後、30年後に私たちはどのような仕事をしているだろうか。公的年金の支給額は実質的に減らされているだろうから、60~70歳代でも働き続けている人は多いだろう。ただ、年月を経るにつれ、現在と同じ仕事を続けている人は少なくなっていくのではないか。未来が大きく変貌することによって、職業も劇的に変わってしまう可能性があるからだ。

看護師・介護士が増えた

 未来を考えるに当たって、過去を見返すことは役に立つ。20年前の2000年と比べてどのような職業の変化があったのか、総務省の「労働力調査」で調べてみた。

 まず、増えた職業は二つ。「サービス職業従事者(保安を含む)」と「専門的・技術的職業従事者」だ。サービス職業従事者は677万人から982万人(19年)へと45%増加、専門的・技術的職業従事者は856万人から1174万人(同)へと37%増加した。

 サービス職業従事者や専門的・技術的職業従事者が増えたのは、医療・介護の需要増で看護師・介護士が急増したことや、IT化によってシステムエンジニアが増えたこと--が背景にある。

 日本の高齢化は進み、人口に占める65歳以上の割合は、現在の28%が、50年には38%に上がる。医療・介護・福祉の分野で働く人はほぼ間違いなく増えるだろう。高齢化はさらなる経済のサービス化を促し、労働集約的な仕事に就く人を増やすと考えられる。

どうなるシステムエンジニア

 では、システムエンジニアは30年後も今と変わらずに存続している職業だろうか。仕事がかなりきついことから、かつては「35歳定年説」すらあった職業だが、今は50歳以上のシステムエンジニアも多数いる。

 社会の…

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熊野英生

第一生命経済研究所 首席エコノミスト

1967年山口県生まれ。横浜国立大学経済学部卒業。90年、日本銀行入行。調査統計局などを経て、2000年、第一生命経済研究所入社。11年4月から現職。専門は金融政策、財政政策、金融市場、経済統計。