海外特派員リポート

「EV大国・中国」は幻想?実は普及が進まない現状

小倉祥徳・毎日新聞中国総局(北京)特派員
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北京モーターショーでトヨタ自動車が公開したレクサスの電気自動車=北京市内で2020年9月30日、米村耕一撮影
北京モーターショーでトヨタ自動車が公開したレクサスの電気自動車=北京市内で2020年9月30日、米村耕一撮影

 中国の自動車関係団体が、電気自動車(EV)など環境対応車(中国では新エネルギー車=NEV)の大胆な普及目標を打ち出し、波紋を広げている。

 中国政府は二酸化炭素(CO2)など温室効果ガスの削減や自国の自動車産業の強化を目指している。EV、プラグインハイブリッド車(PHV)、燃料電池車(FCV)をNEVとして区分し、補助金政策で普及を促している。ハイブリッド車(HV)はNEVに含まないが、CO2排出削減対象の「低燃費車」として優遇している。

 中国でNEVの販売は足元で苦戦しているだけに、環境対応の実現は容易ではない。今回打ち出した目標に実現性はあるのだろうか。

 「2035年までにNEVの販売比率を50%以上に高める」「伝統的な動力(エンジン車)に占めるHVの割合を100%にする」――。

 中国の自動車専門家団体「中国自動車エンジニア学会」の李駿理事長は10月下旬、上海市内で開かれた業界イベントで35年までの電動車目標を発表した。同学会はEVやFCVなどのNEVが新車販売に占める割合を25年に20%前後、35年に50%以上に高める方針を示した。

 NEV以外のエンジン車のうち、HVの割合は25年に50%、35年に100%とした。35年にはエンジンだけの車は販売できないことになる。同学会は目標の策定に当たり、中国工業情報省の指導を受けたと説明している。

 欧州ではエンジン車の新車販売を英国は30年、フランスは40年に禁止する方針。英国は従来の35年を30年に前倒ししたが、中国の目標は、これらの先進国にほぼ並ぶことになる。

習主席はCO2削減目指すが

 NEVの普及は、中国政府が注力する政策…

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小倉祥徳

毎日新聞中国総局(北京)特派員

1976年、東京都生まれ。東京大文学部卒。2001年、毎日新聞社入社。秋田支局を経て2006年から経済部で財務省、経済産業省、日銀、証券、エネルギー、国土交通省などを担当。17~19年には中部本社でトヨタ自動車やMRJなどを取材した。経済部を経て、2020年10月から中国総局。