高齢化時代の相続税対策

亡父から相続「築50年マンション」どうすればいい?

広田龍介・税理士
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 Hさん(45)は数年前に父親を亡くし、相続で賃貸マンション3棟を受け継いだ。3棟とも、最寄り駅から徒歩5分程度の好立地にあるが、築40年以上と老朽化が進んでおり、早晩、建て替えか売却かを考えなければならない。

旧耐震で「候補外」

 特に、差し迫っているのが、最も古い築50年になる計15戸の4階建てマンションだ。エレベーターもなく、高齢となった入居者は「階段の上り下りがつらい」という。

 老朽化物件のため、賃料は抑えなければならない。近辺の新築マンションは1戸あたり14万円前後が相場だが、同8万円がやっとだ。

 入居者が退去すると、その部屋の修繕工事に時間と費用がかかるのも悩みの種だ。工事期間中は賃料収入が途絶えるうえ、新たな入居者が入っても、その賃料から工事費用を回収するのに半年以上かかる。

 工事費用は抑えたいが、必要最小限のリフォームをしなければ、新たな入居者が見込めない。空室を埋めるには、さらに賃料を下げるしかなくなる。

 マンションの耐震基準が現行基準よりも揺れに弱い「旧耐震基準」であるのもネックだ。最近の借り手は、事前にインターネットで築年数や耐震基準を確認するため、最初から「候補外」になりやすいのだ。

 賃貸募集をしてくれる管理会社は、揺れに強い新耐震基準にリフォームするよう注文してくる。だが、そのためには建物外側から耐震補強しなければならない。工事費用がかかる割には、見た目も悪くなり、評価がそれほど高くなるとも思えない。

「スケルトン解体」の新工法

 そろそろ限界にあるのは明らかだ。Hさんは、新たな入居者との賃貸借契約は定期借家契約とし、マンションを取り壊して建て替えるか…

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広田龍介

税理士

1952年、福島県いわき市生まれ。85年税理士登録。東京・赤坂で広田龍介税理士事務所を開設。法人・個人の確定申告、相続税申告、不動産の有効活用などを中心に幅広くコンサルティング活動を続けている。相続税に関する講演やセミナーも開催している。