米国社会のリアル

誰がバイデン氏を勝たせた?米国の未来を握る「郊外票」

樋口博子・ロス在住コラムニスト
  • 文字
  • 印刷
大統領選で勝利を確実にしたバイデン氏=2020年11月7日、AP
大統領選で勝利を確実にしたバイデン氏=2020年11月7日、AP

 「郊外で勝てるのはこの人しかいない」。カリフォルニア州在住で民主党員の私と夫(州下院議員、日系3世)は2019年12月、中道穏健派のバイデン氏を大統領候補として支持すると決めました。当時、同州は急進左派のバーニー・サンダース氏が優勢で、州の予備選(20年3月)でも勝利した中での判断でした。

 そのバイデン氏が大統領選の勝利を確実にしました。米シンクタンク、ブルッキングス・インスティチュート(11月13日付)によると、決定打となったのは当初の予測通り「郊外票」です。

 特に「ラストベルト(さびついた工業地帯)」を抱える3州(ミシガン州、ウィスコンシン州、ペンシルベニア州)と、共和党の牙城だった南部のジョージア州で、大都市圏の郊外票を押さえたことが勝敗を分けました。いずれも前回はトランプ氏が勝った州です。

 また、AP通信(11月15日付)によると、バイデン氏は「郊外女性票」も59%を獲得し、トランプ氏の40%を大きく上回りました。全米の投票者の約4分の1にあたる郊外女性が、勝敗を決めるカギとなったのです。全米で黒人女性の93%がバイデン氏に投票したのも印象的でした。

「米国の郊外」とは

 「米国の郊外」と聞いても、日本に住む人にはイメージしづらいかもしれません。そこにはどういう人たちが住んでいるのでしょうか。

 米国では伝統的に「都市部」は民主党、「地方・田舎」は共和党が優勢で、今回も分断は明白でした。一方、都市部周辺の「郊外」は、民主・共和が拮抗(きっこう)していたり、無党派層が多いエリアがあったり、投票行動のわずかな変化が州全体の勝敗を左右する「接戦区」があります。

 住民は、都市部…

この記事は有料記事です。

残り1086文字(全文1784文字)

樋口博子

ロス在住コラムニスト

 兵庫県生まれ。ロンドン大修士(開発学)、東大博士(国際貢献)。専攻は「人間の安全保障」。2008年、結婚を期にロサンゼルスに移住。渡米前はシンクタンク、国際協力銀行、外務省、国際NGOで開発途上国支援に取り組んだ。米国で2019年に独立。地元コミュニティーを地域や日米でつなぐ活動をしている。カリフォルニア州議会下院議員アル・ムラツチ氏(民主党)は夫。