
地銀の経営統合や合併を後押しするため、金融庁はシステム統合にかかる費用の一部を補助する制度を検討している。だが、銀行のシステム開発や運用には巨額の資金が必要になっている。そのコスト構造を抜本的に効率化しなければ、地銀の厳しい経営状況を打開できないとの議論も浮上している。
かつてはすべて「自前主義」
全国で100を超える地銀はかつて、勘定系システムなど業務の中心となる「基幹系システム」を各行が独自に構築していた。証券など業務分野別のシステムも同様だ。金融危機が解消に向かった2000年代以降に、費用を抑えるため基幹系システムを共同化する動きが現れた。
ところが現状、システム費用の膨張はその枠組みでも抑えきれなくなっている。基幹系だけでなく、業務分野ごとのシステムもコストが膨らみ、経営を圧迫しているからだ。
例えば、証券業務に関連するシステムは、各行が結びつきの強い証券会社の系列会社に開発させたり、その系列会社からシステムを購入したりしてきたが、「常にコストを払い続けなければならない領域」(上位地銀)となっている。証券分野は税制などの制度改正や新たな商品開発が毎年のように行われ、システム改修を迫られるからだ。
本業の資金決済部門でも大きな変化が起きている。マネーロンダリング(資金洗浄)防止で新たなシステム対応費用を迫られ、送金手数料の引き下げの動きに対応する必要も出てきた。
統合してもコスト圧迫は続く
そうしたなか、SBIホールディングスが出資する「地銀連合」が一石を投じているのは事実だ。SBIのシステムを地銀が活用する方向性が示されているからだ。ただ、この連合に加わる地銀は現…
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