経済プレミア・トピックス

東電福島原発の処理水放出「影響ない」でも残る不安

川口雅浩・毎日新聞経済プレミア編集長
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汚染処理水の入った瓶を手に東京電力の説明を受ける菅義偉首相(左端)=東電福島第1原発で2020年9月26日(代表撮影)
汚染処理水の入った瓶を手に東京電力の説明を受ける菅義偉首相(左端)=東電福島第1原発で2020年9月26日(代表撮影)

どうする福島の汚染処理水(2)

 超党派の国会議員連盟「原発ゼロの会」が2020年10月29日、国会内で開いた経済産業省などへのヒアリングでは、事務局長の阿部知子衆院議員(立憲民主党)が東京電力福島第1原発の汚染処理水について質問した。

 汚染処理水にはトリチウム以外にもセシウム、ストロンチウムなどの放射性物質が残っている。東電は多核種除去設備「ALPS(アルプス)」に汚染処理水を再度通して、62核種の放射性物質の濃度を下げるとしているが、トリチウムは除去できないという。

 阿部氏は「放射性物質の総量が(環境に)非常に影響するのではないか」と指摘。「核種ごとに総量を示し、それがどれくらいの環境負荷を与えるのか明らかにすべきだ」と迫った。

「タンクの処理水すべて放出しても」

 経産省の担当者は調査に応じる考えを示したものの、「仮にタンクの処理水をすべて放出した場合でも、自然界の放射線被ばく影響の1000分の1以下になるとの試算結果を公表している」と理解を求めた。

 これは経産省の有識者会議が汚染処理水の処分方法として、海洋放出に優位性があると指摘した報告書(2020年2月)の数字だ。

 報告書によると、タンクに保管している汚染処理水のトリチウムの総量は約860兆ベクレル(19年10月末時点)。これを1年間ですべて放出した場合でも、日本で生活する人々が自然界で受ける年間放射線量の1000分の1以下になるという。

 さらに、日本に降る雨に含まれるトリチウム量は年間約220兆ベクレル。海外の核燃料再処理工場ではフランスの「ラアーグ」で年間約1京3700兆ベクレル、英国の「セラフィールド」で年間…

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川口雅浩

毎日新聞経済プレミア編集長

1964年生まれ。上智大ドイツ文学科卒。毎日新聞経済部で財務、経済産業、国土交通など中央官庁や日銀、金融業界、財界などを幅広く取材。共著に「破綻 北海道が凍てついた日々」(毎日新聞社)、「日本の技術は世界一」(新潮文庫)など。財政・金融のほか、原発や再生可能エネルギーなど環境エネルギー政策がライフワーク。19年5月から経済プレミア編集部