
新型コロナウイルスの感染拡大で、一部アパレルメーカーが打撃を受ける中、子供服・子供用品大手の西松屋チェーン(兵庫県姫路市)は増収増益と好調だ。人気の秘密は、できるだけ混まない店にする「ガラガラ経営」にあるという。本来は客を集めないともうからないと思うが、なぜ利益を出せるのか。店舗の運営現場を取材し、8月に就任した33歳の新社長に話を聞いて、その秘密を解明してみた。
広い通路、陳列を工夫
10月下旬に西松屋の住吉遠里小野店(大阪市住吉区)を訪ねると、客はまばらだった。BGMも流れておらず、ベビーカー2、3台が同時にすれ違えるほど広い通路と静けさが、店の開放感を際立たせている。天井の高さも約5メートルと一般的な小売店の2倍近い。「うちの店はいつでも密集しない。子育てに追われる女性が、短時間でストレスなく買い物できるようにしています」。店舗運営を担う常務執行役員の坂本和徳さん(62)が教えてくれた。
ガラガラ経営の秘密は陳列の仕方と価格戦略にある。子供服はハンガーに掛けて服の前面が見えるような形…
この記事は有料記事です。
残り2259文字(全文2710文字)
投稿にはログインが必要です。
宇都宮裕一
毎日新聞大阪経済部記者
1978年、宮崎市生まれ。2003年毎日新聞社入社。甲府支局で警察、行政取材を担当し、2008年から東京本社経済部で電機、保険業界などを取材した。2010年からは大阪本社経済部で、シャープ、パナソニックの経営危機や、2025年大阪・関西万博の誘致などを取材。現在は関西の経済界や航空業界などを担当している。