産業医の現場カルテ

従業員50人超の事務所に必須「衛生管理者」の役目とは

佐藤乃理子・産業医・労働衛生コンサルタント
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 根岸さん(仮名、40歳女性)は、最近従業員数が50人を超えた介護施設運営会社の総務担当で、会社の「衛生管理者」でもあります。この会社の産業医を務める私は、根岸さんから「職場の労働衛生の管理体制をしっかり整えたいが、従業員に協力してもらえるか不安です」と相談を受けました。

衛生的な職場作りを目指す

 従業員数が50人を超える事業所は、衛生管理者と産業医を選任して労働基準監督署に届け出ることが、労働安全衛生法で定められています。根岸さんは、半年ほど前に衛生管理者免許(1種)を取得し、選任に備えていました。私がこの会社の産業医になったので「今後は従業員が働きやすく衛生的な職場を作っていきたい」といいます。

 根岸さんは「介護施設の利用者は高齢者がメインですから、衛生的な職場を保つにはまず従業員が健康であることが大切です。そして、従業員が衛生管理の意識を持つことで、より良いサービスの提供につなげたいと思います」と話します。しかし、ただでさえ忙しい従業員から、どうすれば協力を得られるかがわからないといいます。

従業員から職場の課題を聞く

 そこで、まず衛生管理者の職務と会社の義務を確認しながら、根岸さんと私でできることを探っていくことにしました。

 衛生管理者の役目は、作業環境に関する調査や改善を行い、産…

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佐藤乃理子

産業医・労働衛生コンサルタント

2002年、藤田保健衛生大学医学部卒業。泌尿器科医として病院に勤務しながら、がん治療薬の基礎研究にあたった。10年に厚生労働省健康局へ出向して臓器移植関連の政策に従事し、13年に北里大学医学部に所属し、同大学病院の医療マネジメント、経営企画に参画。15年に日本医師会認定産業医となり、複数の企業の嘱託産業医を務めてきた。20年4月に労働衛生コンサルタントを取得し、幅広く働く人の健康や職場環境の管理に関する相談を受ける。また、東京都檜原村で労働環境やライフスタイルのあり方を提案する「檜原ライフスタイルラボ」の共同代表を務める。