高齢化時代の相続税対策

節税マンション建築中「父母が相次ぎ急死」相続税は?

広田龍介・税理士
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 東京都区部に住む80代のTさんは、妻M子さんと長男Yさん夫婦の4人家族。Tさんは先代から貸地、貸家、賃貸アパートの不動産業を営んでいる。

3年後ようやく着工

 Tさんは80歳のころ、相続対策として、自宅とその周囲の貸家、アパートを取り壊し、賃貸マンションを建築することにした。賃貸マンションにすれば、その土地・建物は「貸家建付地・貸家」として財産評価を大きく下げることができ、節税効果が見込めるためだ。

 借家人の立ち退きに思いもかけず時間がかかり、3年後、ようやく着工にこぎつけることができた。だが、それから半年後、Tさんは体調を崩し、マンションの完成を見ることなく亡くなった。84歳だった。

 マンションの建築費は総額6億円。Tさんは着工時に手付金6000万円を支払い、その3カ月後には中間金1億円を支払っていた。Tさんが亡くなった時点で、工事の進捗(しんちょく)率は50%程度だった。

年の瀬の「手続き完了」

 Tさんの相続で、建築途中のマンションはどのように財産評価するのだろうか。

 建築費6億円に対し相続時点での工事進捗率は50%だから、3億円分の建築が終了したことになる。また、Tさんは亡くなるまでに計1億6000万円を支払っているから、差し引き1億4000万円が「工事未払い金」となる。これはTさんの債務になる。

 また、建築中の建物は、本人が亡くなるまでに建物に投下された建築費用の70%と評価することになっている。Tさんのケースでは、3億円の70%で2億1000万円だ。

 仮にTさんが、マンションの完成まで長生きしていれば、マンションの土地・建物は「貸家建付地・貸家」の評価減を受けるこ…

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広田龍介

税理士

1952年、福島県いわき市生まれ。85年税理士登録。東京・赤坂で広田龍介税理士事務所を開設。法人・個人の確定申告、相続税申告、不動産の有効活用などを中心に幅広くコンサルティング活動を続けている。相続税に関する講演やセミナーも開催している。