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在宅勤務の45歳課長「打ち合わせ多過ぎ」で体調不良に

佐藤乃理子・産業医・労働衛生コンサルタント
 
 

 野上さん(仮名、45歳男性)は、精密機械販売会社の営業課長です。この会社の産業医を務める私は、先日、野上さんから健康面で相談したいことがあると打診を受け、面談しました。「テレワークがメインになってから体調が芳しくありません」といいます。

熟睡できず頭痛も

 この会社は、新型コロナウイルスの感染拡大で4月からテレワークを導入しています。野上さんは週1日出社する以外はテレワークをしていますが、「最近、熟睡できず、ときどき頭痛がします」と訴えます。

 野上さんの勤務状況を確認すると、この半年で徐々に時間外の勤務が増え、直近の1カ月は時間外が80時間弱になっていました。就業時間中は、部下たちとのオンラインミーティングに追われています。オフィスにメンバーが全員いたときは一言の確認で済んだようなことも、オンラインで面談するケースが多いそうです。

 野上さんは「テレワークだからこそコミュニケーションが大事だと思い、部下の顔を見られるオンラインミーティングを積極的に行っています。私の予定は誰でも確認できるため、少しでも予定が空いていると、どんどん打ち合わせが入ってきます」といいます。

 また、チーム内ではいくつかのプロジェクトが同時進行していて、その進捗(しんちょく)を管理するのも野上さんの仕事です。プロジェクト…

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産業医・労働衛生コンサルタント

2002年、藤田保健衛生大学医学部卒業。泌尿器科医として病院に勤務しながら、がん治療薬の基礎研究にあたった。10年に厚生労働省健康局へ出向して臓器移植関連の政策に従事し、13年に北里大学医学部に所属し、同大学病院の医療マネジメント、経営企画に参画。15年に日本医師会認定産業医となり、複数の企業の嘱託産業医を務めてきた。20年4月に労働衛生コンサルタントを取得し、幅広く働く人の健康や職場環境の管理に関する相談を受ける。また、東京都檜原村で労働環境やライフスタイルのあり方を提案する「檜原ライフスタイルラボ」の共同代表を務める。