経済記者「一線リポート」

今なお“原発量産”まっただ中の中国をウオッチする

安藤大介・毎日新聞経済部記者
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中国核工業集団が建設し、機能試験が進む次世代小型原発の高温ガス炉=同社ホームページから
中国核工業集団が建設し、機能試験が進む次世代小型原発の高温ガス炉=同社ホームページから

 「東京電力の原発事故以降、原子力への不信感が広がり、新たな原発は建設されていない」。これは日本国内の常識だ。

 ところが、東シナ海をはさんだ“隣国”の中国の常識は全く様相が異なる。大型原発が沿岸部を中心に次々と建設され、海外輸出も視野に入れた新型の小型原発の開発が急ピッチで進められている。中国の原子力事情に詳しい窪田秀雄さん(67)=テピア総合研究所主席研究員=が、最新の状況をまとめた本を今春発行したと知り、話を聞きに行った。

急ピッチでノウハウ蓄積

 「中国国内の原発建設は、新型コロナウイルスの影響で一時は工事がスローダウンしましたが、着実に進んでいることには変わりありません」

 こう語り始めた窪田さんは、日本では指折りの中国の原子力ウオッチャー。原発稼働がまだ数基という「原発後進国」だった2006年から中国政府の発表や報道などを丹念に確認。原子力関係者にも取材しながら、中国の「原発データベース」とも言える本を定期的に発行している。

 かつて私が窪田さんを頻繁に取材していたのは15年前後。当時、日本の原発輸出は「アベノミクス」の成長戦略の目玉に掲げられていた。一方、中国は巨大経済圏構想「一帯一路」の名の下にアジアやアフリカの途上国などに原発輸出を働きかけ、日本のライバルとみられていた。

 しかし、原発事故の影響は大きく、安全対策費がかさむなどして日本の原発輸出計画は総崩れに。世界的に原発への逆風が強まる中、「中国もいずれ退潮する」と思い込んでいた。

 そんな私に窪田さんは「原子力も含め、中国の存在感はどんどん高まっていくはず」と指摘する。

 中国は今なお“原発量産”のまっただ中にあった…

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安藤大介

毎日新聞経済部記者

 1977年、愛知県生まれ。慶応大経済学部卒。2002年、毎日新聞社入社。大阪本社経済部などを経て、14年から東京本社経済部。エネルギー業界や日銀、民間企業、経済産業省などを担当。18年から津支局次長。20年10月から東京経済部で日銀、証券、金融庁の取材を束ねるキャップ。