ニッポン金融ウラの裏

沈滞する金融市場で再び「日本版ビッグバン」の必要性

浪川攻・金融ジャーナリスト
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かつて「日本版ビッグバン」と呼ばれる改革に着手した橋本龍太郎首相(当時)=1996年11月29日、米田堅持撮影
かつて「日本版ビッグバン」と呼ばれる改革に着手した橋本龍太郎首相(当時)=1996年11月29日、米田堅持撮影

 銀行と証券のビジネスを隔てている「ファイアウオール(隔壁)」を撤廃するのか、維持するのか――。金融庁が設置した金融審議会の「市場制度ワーキンググループ」で検討されている「銀・証の垣根問題」は、当初の想定よりも議論が大幅に長引く公算が大きくなっている。

 銀・証の垣根問題は20年ほど前にも議論され、「業態別子会社方式」で相互参入を認めることで決着した。それ以降、部分的に修正されてきたものの、銀行本体による証券業務への参入は認められていない。

 今回の議論は、銀行本体で証券業務を行えるよう、銀行業界が規制緩和を求める形で始まった。欧米ではすでに「銀・証一体化」のスタイルが定着している。その現状を踏まえ、これ以上後れをとるべきではないとの考えが銀行業界にあるようだ。

「日本版ビッグバン」から20余年

 ワーキンググループでは現状、規制を撤廃したときの利益相反の問題や、銀行の優越的地位の濫用を防止できるのかというテーマに議論が集中している。ファイアウオールを維持すべきか、撤廃すべきかというゴールはいまだに見えてこない。というよりも、そもそも、簡単に結論が出せるテーマではないことが改めて明らかになってきた。

 わが国では1996年、当時の橋本龍太郎内閣が「日本版ビッグバン」を打ち出し、国際化に大きく遅れた金融・資本市場の抜本的な改革に着手した。株式売買手数料の自由化、投資信託の銀行窓口販売の解禁、持ち株会社制度の導入、連結決算制度の本格導入などが実現し、銀行・証券・保険間の相互参入も、子会社方式で部分的に実施された。

 この改革から20年余り経過した。この間、世界の金融・資本市場の変革は日本を…

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浪川攻

金融ジャーナリスト

1955年、東京都生まれ。上智大学卒業後、電機メーカーを経て、金融専門誌、証券業界紙、月刊誌で記者として活躍。東洋経済新報社の契約記者を経て、2016年4月、フリーに。「金融自壊」(東洋経済新報社)など著書多数。