MaaSが創る都市と地方の近未来

逆風コロナをはね返す!新たな客層を「しもズブ」に

森田創・東急MaaS戦略課長、ノンフィクション作家
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観光型MaaS「Izuko」の一環として伊豆急下田駅周辺で運行されているオンデマンド交通「くろふね号」
観光型MaaS「Izuko」の一環として伊豆急下田駅周辺で運行されているオンデマンド交通「くろふね号」

 静岡県・伊豆半島での観光型MaaS(マース)である「Izuko(イズコ)」は11月16日、事業化に向け最終段階の実証実験が始まった。新型コロナウイルスの感染拡大が気がかりだが、コロナ下で拡大するリモートワークが生み出す新たなチャンスも見えてきた。

 MaaS(モビリティー・アズ・ア・サービス)は、あらゆる交通手段がスマートフォンで予約・決済できるサービス。なかでも観光型MaaSは交通機関だけでなく、観光施設の入場料なども決済対象にすることで「スマホさえあれば自在に旅ができる」という利便性を利用者に提供し、観光・地域の振興につながることが期待されている。今回の実証実験は、来年度の事業化を懸けた4カ月半の闘いになる。心配なのは、新型コロナの感染者が増加しつつある中で、どれだけ多くの方にご利用いただけるのかという一点だ。

 東伊豆への人出自体は、GoToキャンペーンの影響もあり、前年比7割程度まで戻りつつあった。ある観光会社によると、全GoTo関連商品を観光地別に見ると、伊豆方面行きは売り上げが全国平均を15%ほど上回っているという。コロナ下の旅行先としては、東京から近く、なじみの観光地という伊豆の気軽さが受けるのだろう。

感染拡大で回復鈍化「言い訳はできない」

 実際、11月21~23日の3連休、伊豆急下田駅では、バス券や観光施設の割引券を売る自動販売機に、100メートル以上の行列ができた。近年記憶にない光景だ。ところが、その後は感染者数の増加を受け、伊豆の宿泊施設ではキャンセルが相次…

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森田創

東急MaaS戦略課長、ノンフィクション作家

 1974年神奈川県生まれ。99年、東京急行電鉄株式会社入社。ミュージカル劇場「東急シアターオーブ」の開業責任者、広報課長を経て、2018年から現職。日本初の観光型MaaS(次世代移動サービス)「Izuko」を伊豆半島で立ち上げた経緯を記した「MaaS戦記」を20年夏に刊行したほか、「洲崎球場のポール際」(第25回ミズノスポーツライター賞最優秀賞)「紀元2600年のテレビドラマ」の著作も。