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在宅勤務中「上司が夫婦問題に介入!?」30代女性の怒り

舟木彩乃・産業心理コンサルタント・カウンセラー
 
 

 小野さん(仮名、女性30代前半)は人材紹介会社の法人営業2課(10人)に所属しています。仕事は、採用を検討している企業に候補者を紹介することで、毎月課される紹介人数のノルマも問題なくクリアしてきました。

 彼女は仕事は好きですが、上司のA課長(女性40代半ば)が少し苦手です。A課長は姉御肌タイプで、部下から頼られることに生きがいを感じているようです。課員の性格や仕事の状況、日ごろの言動などを常に把握していたいようで、毎日報告を課し、頻繁に会議や面談を設定していました。

 A課長の部下で女性は小野さん1人で、課長は気にかけてよく声をかけていました。ただ、特に仕事で課長に迷惑をかけるようなことはないので、最低限の対応ですんでいました。

チャットの反応が遅れると…

 しかし、コロナで状況が一変しました。課全体がテレワークになると、A課長への対応も減るかと思いきや、かえって余計な対応が増えたのです。A課長は数時間おきにチャットやズームで、課員の仕事状況を確認するようになりました。

 小野さんは会社員の夫と小学校低学年の子どもの3人暮らしです。夫もテレワークが中心になり、子どもは一時休校となりました。小野さんは、仕事と家事を並行してこなしながら在宅で勤務を続けました。

 小野さんが家事で手が離せず返事が遅れると、家庭環境で悩んでいないか何度も聞かれました。子どもが休校なので、世話ですぐに対応できない場合もあると伝えましたが、それを悩み相談と捉えたらしく、夫にもっと家事を手伝わせるべきだと自分の成功体験をもとに熱弁をふるったそうです。チャットにすぐに反応しないと、「(夫の)教育頑張ろう!」という…

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産業心理コンサルタント・カウンセラー

 筑波大学大学院博士課程修了(ヒューマン・ケア科学博士)。一般企業の人事部などを経て、現在メンタルシンクタンク(筑波大学発ベンチャー企業)副社長。金融庁職員のメンタルヘルス対策にも従事する。国家資格として公認心理師、精神保健福祉士、第1種衛生管理者、キャリアコンサルタントなど保有。著書に「『首尾一貫感覚』で心を強くする」(小学館新書)。