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東京・参宮橋駅も変身!都心に増えてほしい「木の駅」

土屋武之・鉄道ライター
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リニューアルされた小田急線・参宮橋駅
リニューアルされた小田急線・参宮橋駅

 明治神宮の最寄り駅の一つ、参宮橋駅(小田急線)のリニューアルが11月25日に完了した。ホームの柱や天井などに木材がふんだんに使われ、「木のぬくもり」が感じられる駅に生まれ変わっている。

 今回は鉄道と「木」の関係について考えてみたい。

多摩産の木材を使用

 参宮橋駅のリニューアルに使われた木材の多くは、約5万ヘクタールの森林がある東京の多摩地方で伐採されたものだ。

 国の政策で昭和30年代に大量植林された多摩の森のスギやヒノキが、ここ10年で本格的な利用期を迎えている。こう聞くと東京の人は「花粉症」を思い浮かべるかもしれない。東京一帯の花粉症の原因とされてきたスギやヒノキが今、本来の期待された役割を果たしているとも言えるのだ。

 多摩産の木材を使った先例は、東急池上線の戸越銀座駅(2016年リニューアル)や旗の台駅(19年リニューアル)だ。両駅ともホームの屋根部分などに木材を使い、無機質になりがちな都会の駅にぬくもりを与えている。旗の台駅ではかつて多くの駅で見られた木製の長いベンチも復元し、懐かしさも感じさせてくれる。

鉄道と「木」は好相性

 鉄道と木の相性の良さは、同じ乗り物でも自動車や航空機などにはない特徴だろう。

 そもそも大正の末ごろまで、蒸気機関車以外の鉄道車両は木造が常識だった。基礎となる台枠部分は別だが、骨組みや外板、内装には木材が使われていたのだ。それが強度や防火上の理由で木造部分が排されていき、いわゆる「全鋼製車両」が当然になったのは戦後になってからである。

 しかしその後も、内装に温かさや落ち着きを与える目的から、木目を印刷したアルミ板などの使用は続いた。阪急電車の…

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土屋武之

鉄道ライター

1965年、大阪府豊中市生まれ。大阪大学で演劇学を専攻し、劇作家・評論家の山崎正和氏に師事。出版社勤務を経て97年に独立し、ライターに。2004年頃から鉄道を専門とし、雑誌「鉄道ジャーナル」のメイン記事などを担当した。東日本大震災で被災した鉄道路線の取材を精力的に行うほか、現在もさまざまな媒体に寄稿している。主な著書に「ここがすごい!東京メトロ」(交通新聞社)、「きっぷのルール ハンドブック」(実業之日本社)など。