高齢化時代の相続税対策

自宅に節税ビル「78歳の相続対策」コロナ禍の不安

広田龍介・税理士
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 駅から10分圏内の好立地に不動産を所有しているYさん(78)は相続対策を検討している。悩みの種は、不動産が保有財産の9割超を占めており、金融資産が少ないことだ。このままで、自分が亡くなれば、子供たちは納税資金が不足してしまう。

不動産売るには忍びない

 不動産は親から相続したもので、商店街のメイン通りの周りにまとまった面積の貸地がある。将来の納税資金を捻出するために売却するという手もあるが、親からせっかく引き継いだ不動産を売るのは忍びない。一帯には再開発計画が持ち上がっており、その実現のため、ぜひ残しておきたいという思いもある。

 どうするか。そこで考えた相続対策が、自宅の土地の活用だ。

 自宅は、メイン通りから一本裏手にあり、周辺は古い木造建物の飲食店が軒を連ねている。Yさんも自宅周りの数棟の木造建物を飲食店に賃貸しているが、いずれも築40年超と老朽化している。昔ながらの良さが残っているといえば聞こえはいいが「取り残された地区」という見方もできる。

金融機関「返済計画に問題なし」

 そこで、自宅と周囲の木造建物を取り壊し、Yさん個人名義で店舗併用住宅の5階建てビルを建てるというプランを立てた。

 建設資金は、金融機関の融資を充てる。借入金のぶん相続財産評価額が減り、相続節税になる。ビルが完成すれば、毎月の賃貸収入が返済原資となる。これで相続対策は完了する。

 金融機関は「ビルの立地からみて、不動産投資利回りは高く、返済計画に問題はない」と太鼓判を押す。

 Yさんが亡くなって相続が開始した後はビルを法人化する。ビルを法人に売却した資金と、所有不動産のうちの駐車場を売った資金とが、相続税…

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広田龍介

税理士

1952年、福島県いわき市生まれ。85年税理士登録。東京・赤坂で広田龍介税理士事務所を開設。法人・個人の確定申告、相続税申告、不動産の有効活用などを中心に幅広くコンサルティング活動を続けている。相続税に関する講演やセミナーも開催している。