海外特派員リポート

東京より複雑? ロンドンで「コロナ移住」進まない事情

横山三加子・毎日新聞欧州総局特派員(ロンドン)
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ロックダウン(都市封鎖)が解除され、買い物客でにぎわうロンドン中心部=2020年12月7日、横山三加子撮影
ロックダウン(都市封鎖)が解除され、買い物客でにぎわうロンドン中心部=2020年12月7日、横山三加子撮影

 毎日新聞の連載企画「コロナで変わる世界」の一環として、11月21日のウェブ版で「7人に1人がロンドン脱出?」という記事を書いた。東京都心から避暑地である長野県軽井沢町に移住する人たちの紹介と呼応する形で、私はロンドンでも郊外や近郊地域へ引っ越しを考える人が増えているという話を書いた。

 新型コロナウイルスを機に定着した在宅勤務や、人混みを避けて自然豊かな場所で暮らしたいという希望が転居を後押ししている点は日本も英国も同じだ。

 だが、ロンドンで取材を進めると、人々がロンドンを脱出したいという理由はもう少し複雑だった。そして、引っ越しを考える全ての人が実現できるわけでもないようだ。

都心の便利さより「安らぎ」

 企画の記事で紹介したのはロンドン中心部のマンションに8年間住んできた女性会社員、ジェマ・シャーさん(36)。新型コロナによるロックダウン(都市封鎖)を経験する中で、都心ならではの便利さや楽しさよりも自宅周辺にリラックスできる大きな緑地があることの方が優先順位が高くなったと言い、マンションを売却し、ロンドン郊外に引っ越すことを決めた。

 シャーさんと同じく2度のロックダウンを経験している私自身も話をうなずきながら聞いた。そして、シャーさんの引っ越し先にあるロンドンで2番目に大きな王立公園「ブッシー公園」を実際に訪ねてみると、ロンドンとは思えない素朴でゆったりとした空間に安らぎを感じた。この地域に魅力を覚えたシャーさんの気持ちが理解できた。

 ロンドン市議会住宅委員会が8月に公表した調査でも「コロナ禍を受けて居住地を検討する際に大事な点」として上位にランクインしたのは、「庭の確保」…

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横山三加子

毎日新聞欧州総局特派員(ロンドン)

1981年、埼玉県生まれ。法政大学社会学部卒。2004年、毎日新聞社に入社。岡山支局、大阪本社経済部を経て13年から東京本社経済部。電機・通信業界、経済産業省や財務省、財界などを担当。19年10月から現職。