熊野英生の「けいざい新発見」

クルマ“電動化”へあと10年?「これから起こること」

熊野英生・第一生命経済研究所 首席エコノミスト
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2050年までに温室効果ガス排出「実質ゼロ」を目指すと表明した菅義偉首相=2020年10月26日、竹内幹撮影
2050年までに温室効果ガス排出「実質ゼロ」を目指すと表明した菅義偉首相=2020年10月26日、竹内幹撮影

 菅義偉政権は、2050年の温室効果ガスの排出量を実質ゼロにする「カーボンニュートラル」の方針を決めた。これに連動して、30年代半ばに自動車の新車販売をすべて「電動車」にする方針も近々決まりそうだ。

 乗用車の平均使用期間は約13年なので、35年ごろから買い替えられる自動車をすべて電動車にすれば、15年後の50年にはすべての自動車を入れ替えられるという計算だろう。

ハイブリッド車は含まれるのか

 この目標は実現可能だろうか。注目は「電動車」という範囲に、ハイブリッド車を含めるかどうかだ。国内の乗用車販売台数は19年に430万台。このうち、ハイブリッド車、電気自動車、燃料電池車の合計は151万台と全体の約35%を占める。これを35%から15年間かけて100%のシェアに引き上げることは実現できるかもしれない。

 だが、ハイブリッド車を除くと難しくなる。電気自動車、燃料電池車だけだと、まだほとんど普及していないところから、100%へのシェア拡大となるので、かなり厳しいだろう。

 驚かされたのは、東京都の小池百合子知事が12月8日の都議会で、都内で販売される新車は、30年までにガソリン車をゼロにすると発表したことだ。政府より5年早いタイミングである。ハイブリッド車を含めたとしても、本当に東京都で30年までに電動化を実現できるのかと心配になってしまう。

下請けは事業転換できる?

 筆者は、ガソリン車全廃の方針には大賛成だが、やはり移行期間はしっかりと確保した方がよいと考える。政策方針の大きな転換は、民間企業に対して予見可能性をもって示さなければならないと考えるからだ。

 仮に、ガソリン車を全廃す…

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熊野英生

第一生命経済研究所 首席エコノミスト

1967年山口県生まれ。横浜国立大学経済学部卒業。90年、日本銀行入行。調査統計局などを経て、2000年、第一生命経済研究所入社。11年4月から現職。専門は金融政策、財政政策、金融市場、経済統計。