毎日家業×創業ラボ

家業・同族企業こそがイノベーションを生み出す

入山章栄・早稲田大大学院経営管理研究科(ビジネススクール)教授
  • 文字
  • 印刷
入山章栄・早大大学院教授=西夏生撮影
入山章栄・早大大学院教授=西夏生撮影

 入山章栄・早稲田大大学院教授の連載「未来を拓(ひら)く経営理論」は、世界の経営学の知見をビジネスパーソンが実践できる形で分かりやすく紹介していきます。多くの産業が変革を迫られる中、家業を含む同族企業こそがイノベーションを生み出せる。そのことを経営理論の視点で解き明かします。キーワードは「遠くを見る力」です。

「未来を拓く経営理論」<1>

 同族企業については、何となく悪いイメージを持っている方も少なくないでしょう。しかし、これは多分にメディアによってつくられた部分も大きいと私は思っています。日本の上場企業について過去40年のデータを研究した京都産業大学の沈政郁教授らの論文によれば、上場企業の約3割を占める同族企業の方が、非同族企業よりも成長率も利益率も高かったことが明らかになっています。悪いイメージの理由は、大塚家具で起こったように「内輪もめ」「親子骨肉の争い」といったニュースになりやすいからでしょう。

 同族企業は日本だけでなく、世界的にも多い経営形態です。米国でも約3割が同族経営と言われています。例えば、米小売り最大手のウォルマート。韓国のサムスン電子もそうですね。

 日本に特有なケースとして、創業家がもはや大株主ではないけれど経営者を出している企業もあります。トヨタ自動車やエーザイがこれにあたります。いずれにしても同族企業は、欧州や南米でもかなりの数を占めており、海外の研究では、非同族企業と比べて遜色のない業績を確保しているという結果が出ています。

 では、なぜそうなるのか。理論的に言うと…

この記事は有料記事です。

残り1310文字(全文1964文字)

入山章栄

早稲田大大学院経営管理研究科(ビジネススクール)教授

 1972年生まれ。慶応大学経済学部卒業。米ピッツバーグ大経営大学院から博士号を取得。2013年に早稲田大大学院准教授。19年から現職。世界の経営学の知見を企業経営者やビジネスパーソンが実践できる形でわかりやすく紹介している。主な著書に「世界標準の経営理論」(ダイヤモンド社)など。