高齢化時代の相続税対策

生前父が話した「先妻の子」連絡待つ52歳女性の思い

広田龍介・税理士
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 F子さん(52)は4年前、高齢の両親と2世代同居を始めた。両親が住む実家の敷地の半分を売り、その資金で残った敷地にバリアフリーの2世帯住宅を建て、そこに一人娘であるF子さんの家族も移ることにしたのだ。

 父は当時96歳で「自宅で最期を迎えたい」と願っていたが、父の世話をする母も85歳の高齢であり、介護疲れで衰弱するのではないかと心配だった。

半世紀前に生き別れ

 同居を始めた直後、F子さんは父から、実は母と結婚する前に先妻がいた、と切り出された。初めて聞く話だった。

 先妻とは結婚5年で別れたが、年子で生まれた女の子2人がいた。母子とはその後、音信不通となり、今どこにいるのか知らず、生死さえも分からない、という。

 父は、2人の子に財産を分けることは考えていないと話した。遺言書にはすでに、全ての財産をF子さんに相続させると記しており「自分が死んだら、お母さんのことは頼む」という。

 だが、自分が亡くなったことを先妻の子が知れば、相続人として最低限保証された相続分である「遺留分」の請求をしてくるかもしれない。そこで、その時に慌てないよう、2人の子がいることだけは、F子さんに伝えておきたかったという。

 F子さんは悩んだ。2人はF子さんにとって異母姉であり、父が亡くなればそれを知らせるのが筋だ。父は明らかに先妻やその子と関わることを避けているのだろう。離婚の原因が何かは聞かなかったが、それほどまでして財産を渡したくないのだろうか。

 だが、父が亡くなれば、2人の異母姉に対応することになるのは自分だ。連絡先だけでも探しておきたいと考えた。だが、父の戸籍謄本を確認し、離婚当時の先妻の住所だけはわ…

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広田龍介

税理士

1952年、福島県いわき市生まれ。85年税理士登録。東京・赤坂で広田龍介税理士事務所を開設。法人・個人の確定申告、相続税申告、不動産の有効活用などを中心に幅広くコンサルティング活動を続けている。相続税に関する講演やセミナーも開催している。