米国社会のリアル

州政府vs裁判所vs警察 米コロナ禍「屋外飲食」の対立

樋口博子・ロス在住コラムニスト
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州の外出禁止令を受け、椅子とテーブルが撤去されたレストランのテラス席=米西部カリフォルニア州ロサンゼルスで2020年12月6日、福永方人撮影
州の外出禁止令を受け、椅子とテーブルが撤去されたレストランのテラス席=米西部カリフォルニア州ロサンゼルスで2020年12月6日、福永方人撮影

 米国で新型コロナウイルスの感染拡大が続いています。私が暮らすカリフォルニア州ロサンゼルス郡は、米国内で最大規模の人口(約1000万人)を持つ郡であり、州内で最も感染被害が大きい地域です。感染者数は累計で約58万人。12月10日以降は1日あたりの新規感染者が1万人を超えるようになっています。(ロサンゼルス郡公衆衛生局)

 12月6日には州知事令が発せられ、クリスマス時期を含む最低3週間は厳しい外出制限措置が取られることになりました。春先以来の「ロックダウン」と言える状況で、11月25日から続いていた郡公衆衛生局による「店内や屋外スペースでの飲食禁止」も事実上の延長です。

 もちろん、今回も素直に従う国民ばかりではありません。異なる意見や価値観がぶつかり、さまざまな場面で対立軸を生み出しています。しかしそこに、米国社会の独特な在り方を垣間見ることもできます。

レストラン経営者が州政府に異議

 屋外スペースでの飲食も禁じた今回の措置は、“3密”に配慮し、自己資金で屋外席を整備してきたレストラン経営者から特に強い抵抗があります。私の地元のレストラン街にも動揺が走りました。コロナ禍でもにぎわっていた新設の屋外飲食スペースには現在、客は見当たりません。

 しかし一方で、いまだに堂々と屋外で営業を続けている店もあり、「なぜだろう」と疑問に思っていましたが、これには理由がありました。一つは裁判所の存在です。

 郡の飲食事業主らがカリフォルニア州レストラン協会などを通じて、ロサンゼルス高等裁判所に提訴していたのです。裁判所は「屋外飲食の禁止には何ら根拠がなく、命令は公衆衛生局による緊急措置権限の乱用」…

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樋口博子

ロス在住コラムニスト

 兵庫県生まれ。ロンドン大修士(開発学)、東大博士(国際貢献)。専攻は「人間の安全保障」。2008年、結婚を期にロサンゼルスに移住。渡米前はシンクタンク、国際協力銀行、外務省、国際NGOで開発途上国支援に取り組んだ。米国で2019年に独立。地元コミュニティーを地域や日米でつなぐ活動をしている。カリフォルニア州議会下院議員アル・ムラツチ氏(民主党)は夫。