
新型コロナウイルスの世界的な感染拡大で国際会議も様変わりしている。主要7カ国(G7)や主要20カ国(G20)首脳会議(サミット)を含め、主要会議は軒並みインターネットを使ったオンラインに移行したからだ。
ある外交関係者に「出張もなくなり、仕事も楽になったのでは?」と聞くと、「実態は正反対」なのだという。しかも水面下では、日本外交にひたひたと「危機」が迫っているようだ。オンライン外交の現場をのぞいてみた。
日本時間で夜に開催
12月7日。G7財務相・中央銀行総裁会議がオンラインで開かれた。
日本から参加したのは麻生太郎財務相と日銀の黒田東彦総裁。東京・霞が関の財務省4階の特別会議室にはテレビ会議のシステムが組まれ、大型モニターを通じて、議長を務めたムニューシン米財務長官らと議論を交わした。
日米欧など複数の国が参加する「マルチ(多国間)」の会議の場合、まず問題になるのが開催時間だ。対面式なら開催地に合わせて開けばいいが、オンラインではそうはいかない。
「日米欧が参加する会議の場合、日本時間の夜に会議がセットされることが一般的になってきた。日本時間午後9時であれば、ワシントンは早朝、欧州連合(EU)本部があるブリュッセルは昼間になるから」と外務省関係者。
確かに7日のG7も始まったのは日本時間午後10時過ぎ。会議が終わり、麻生氏が待ち構えていた記者団に会議の概要を説明したのは午後11時近くだった。
会議の数は激増
「時間差」による弊害もある。
「事務レベルの会議の場合、欧州の連中は時間を気にせずに議論ができるが、既に深夜になっている日本はそうダラダラと付き合っていられない。会議が…
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赤間清広
毎日新聞経済部記者
1974年、仙台市生まれ。宮城県の地元紙記者を経て2004年に毎日新聞社に入社。気仙沼通信部、仙台支局を経て06年から東京本社経済部。霞が関や日銀、民間企業などを担当し、16年4月から中国総局(北京)。20年秋に帰国後は財務省を担当しながら、面白い経済ニュースを発掘中。