経済記者「一線リポート」

新聞記者は何のため…高校生がくれた「手応え」

後藤豪・毎日新聞経済部記者
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AIのデータをもとに、ロボットアームで描かれた「ぱいどん」=東京都文京区で2020年2月、高橋祐貴撮影
AIのデータをもとに、ロボットアームで描かれた「ぱいどん」=東京都文京区で2020年2月、高橋祐貴撮影

 自分は何のために新聞記者をしているのだろうか。「世の中を良くするため」「社会正義を実現するため」……。口ではそう言うものの、実際は日々、目の前の取材に追われているのが現実で、ふと立ち止まることは少ない。

 そんな時、読者の反応を直接感じられると自分の「存在意義」を見いだすことができる。しかし記者になって15年、残念ながら記事の手応えをつかむことが年々難しくなってきている気がする。新聞の部数は減り、媒体としての影響力の低下は否めない。ウェブで有料会員を獲得することにビジネスの主軸は移りつつある。一本一本の記事が「どれだけ読まれたか」は数字で出るが、その向こうにいる読者の顔が見えず、どんな記事が支持されるかは手探りの状態だ。まさに過渡期であり、試行錯誤の日々だ。

手探りの日々、読者に届いた!

 そうした中、久しぶりに心躍る出来事があった。

 家族や友達と新聞記事を読み、感想や意見をまとめて応募する第11回「いっしょに読もう!新聞コンクール」(日本新聞協会主催)である。小・中・高校部門で計5万7977編、うち高校・高等専門学校生からは2万7295編の応募があり、最優秀賞には福岡県・西南女学院高2年の山口歩乃果さん(17)が輝いた。山口さんが選んだのが、「デジタルVS(バーサス) AIに著作権はあるか」(2020年5月17日付毎日新聞朝刊)。私が関わった記事だった。

 記事では、「漫画の神様」と言われる手塚治虫氏(1928~89年)の31年ぶりの「新作」がAI(人工知能)技術を応用して生み出…

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後藤豪

毎日新聞経済部記者

1981年、東京都生まれ。明治大学商学部卒業後、2005年毎日新聞社入社。青森支局、大阪社会部、神戸支局、甲府支局、東京社会部を経て、18年10月から東京経済部。生損保や証券業界のほか、ソフトバンクグループや楽天などIT企業を担当した。20年4月から総務省担当として情報通信や郵政行政などを担当し、デジタル庁創設に向けた動きも追っている。