海外特派員リポート

「国家VS巨大IT企業」米国で反独占の訴訟相次ぐ背景

中井正裕・北米総局特派員(ワシントン)
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米IT大手のグーグル本社=米カリフォルニア州で2020年2月、中井正裕撮影
米IT大手のグーグル本社=米カリフォルニア州で2020年2月、中井正裕撮影

 米司法省など独占禁止法(反トラスト法)を審査する規制当局が、米グーグルや米フェイスブック(FB)など「GAFA」と呼ばれる巨大IT企業を独禁法違反の疑いで続々と米連邦地裁に提訴している。

 相次ぐ提訴の背景にはGAFAの経済・社会的影響力が強まったことへの警戒があり、今回の訴訟は「国家」対「GAFA」の様相だ。米当局はGAFAの企業分割を含む是正措置を求める構えで、法廷闘争の長期化は必至だ。

GAFAが“独占維持”

 グーグルに対する独禁法提訴は10月から2カ月間で3件相次ぎ、主にインターネット検索とオンライン広告事業がやり玉に挙がった。米司法省と11州・地域は、グーグルがネット検索の市場支配力を利用し、スマートフォンメーカーなどにグーグル検索ソフトを初期設定するよう求めたことを問題視した。

 コロラド州など38州・地域は、グーグルが検索結果画面で旅行サイトや口コミ情報サイトなど競合サービスの表示や広告を目立たなくしたと主張。テキサス州など10州は、グーグルが広告主やサイト運営者にオンライン広告配信サービスの利用を要求していたとして、不当な独占状態を解消するために事業売却を含む「構造的」な是正措置を求めた。

 3件の訴状では、グーグルが米アップルに対しグーグル検索を採用する見返りに年間80億~120億ドルを支払うなど、巨大IT企業が手を結んで市場競争を阻んでいた疑いを明らかにした。

 一方、FBに対しては米連邦取引委員会(FTC)と、48州・地域がそれぞれ提訴。いずれもFBの2012年の写真共有アプリ「インスタグラム」買収と14年の通信アプリ「ワッツアップ」買収が「ライバル企業潰し」だったとして…

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中井正裕

北米総局特派員(ワシントン)

1975年京都府生まれ。立命館大学法学部卒。2000年毎日新聞入社。岐阜支局、中部報道センターを経て、09年から経済部で電力改革、貿易交渉、日銀などを取材。政治部にも在籍し、首相官邸、自民党などを担当した。18年10月から現職。