経済記者「一線リポート」

結び付く顧客データ、実店舗に接近するネット企業

道永竜命・毎日新聞経済部記者
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楽天はインターネット商店街以外にも携帯電話や金融関連など幅広く事業を展開する=小座野容斉撮影
楽天はインターネット商店街以外にも携帯電話や金融関連など幅広く事業を展開する=小座野容斉撮影

 インターネット関連企業が、実店舗を運営する小売業に接近している。楽天は西友に対して出資を決め、アマゾンジャパンも別のスーパーと組んで生鮮品を配送している。「楽天市場」という巨大な商店街をネット上で運営する楽天がスーパーの経営に参画するのは、消費者の満足を追求するにはネットだけでは不十分だと認識しているからだ。ネットとリアルが融合すれば何が起きるのか。

 楽天は楽天市場以外にも、金融や携帯電話など70以上のサービスを国内外で展開し、2020年7月時点の会員数は1億を超える。商品を買ったり、サービスを利用したりすると加算される「楽天ポイント」をてこに会員を増やし、その膨大な購買データを分析。それぞれの会員が欲しがりそうなモノやサービスを紹介して、楽天グループ内で消費を促す手法で規模を拡大してきた。

 しかし、消費者はネット通販と実店舗を使い分けている。生鮮食品などスーパーに売られている商品の購入は実店舗が大半という消費者が圧倒的だ。

 昨日、今日食べたものを思い起こせば、自分がどれだけ実店舗に頼っているかが分かる。私自身の食事を振り返ると、ネット通販で購入したのはせいぜい調味料程度で、残りは近所のスーパーやコンビニなどで購入している。調味料の購入履歴だけでは、その調味料を使って何を食べたかは分からない。

 こうしたネットだけでは得られない顧客データを獲得しようと、ネット企業は躍起になっているのだ。楽天の担当者は「ネットだけ強化しても消費者に満足してもらえない。リアルと融合させていかなければならない」と力を込める。

 食品スーパーをはじめとする小売りの業界では、キャッシュレス決済の導入やイン…

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道永竜命

毎日新聞経済部記者

1979年北海道生まれ。明治大学卒。北海道の地方紙記者を経て、2012年毎日新聞社に入社。中部報道センターを振り出しに岐阜支局、大垣通信部を経て、再び中部報道センター。19年5月から東京本社経済部で、電機メーカーなどの製造業を中心に取材。20年4月からはコロナ禍で進む企業のデジタル化などを取材している。