
藻谷浩介氏に聞く(3)
世界で最近話題になった国や出来事について、藻谷浩介さんが本連載でこれまで執筆した内容に関連して語ってもらうインタビューの第3回。今回はアゼルバイジャンとアルメニアの係争地ナゴルノカラバフをめぐる紛争です。【聞き手は経済プレミア編集部、平野純一】
--2020年9月末に勃発した、アゼルバイジャンとアルメニアの係争地ナゴルノカラバフをめぐる紛争は、20年11月に一応の停戦となりました。連載ではアゼルバイジャンとアルメニアを詳しく書いていますね。
◆藻谷浩介さん アゼルバイジャンは「アゼルバイジャン・バクー カスピ海沿いの複雑国家」(2017年6月19日)から3回、アルメニアは「アルメニアの首都エレバン深夜0時 警官に囲まれた私」(2017年7月31日)から3回書きました。16年7月時点の、隣のジョージアも含めた3カ国での見聞記です。お読みいただければ、この3カ国のあるコーカサス地域の複雑な歴史と、民族や宗教の混交、隣国ロシアやトルコも含めた力関係が分かると思います。
--訪れた時は、アルメニアの首都エレバンの空港の入国審査で引っ掛かり、警官に囲まれましたね。
◆はい。その前にアゼルバイジャンに入ったのが理由でした。アルメニアが勝って終わった前回の紛争は、アゼルバイジャン内のアルメニア人居住地域が1991年にアルツァフ共和国(ナゴルノカラバフ共和国)として独立宣言を発したのがきっかけでした。94年の停戦合意で、アルメニアは、その範囲を大きく超える領域を支配しました。
そういうことなので、負けたアゼルバイジャンに先に行き、その後にアルメニアに行きました。逆だ…
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藻谷浩介
地域エコノミスト
1964年山口県生まれ。平成大合併前の約3200市町村のすべて、海外114カ国を私費で訪問し、地域特性を多面的に把握する。2000年ごろから地域振興や人口問題に関して精力的に研究、執筆、講演を行う。著書に「デフレの正体」「里山資本主義」ほか多数。国内の鉄道(鉄軌道)全線を完乗した鉄道マニアでもある。