ニッポン金融ウラの裏

顧客重視の基準に?金融界が導入する「重要シート」

浪川攻・金融ジャーナリスト
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金融庁=2019年2月10日、本橋和夫撮影
金融庁=2019年2月10日、本橋和夫撮影

 2021年の金融業界の焦点のひとつが「重要情報シート」と呼ばれる説明資料の導入だ。投資信託や外貨建て保険など投資リスクのある金融商品を個人客に販売する際に、商品内容をわかりやすく示し、他の商品とも比較できるようにする資料だ。

 昨年、金融庁が開いた金融審議会の市場ワーキンググループで議論され、21年度中に導入する方向が示された。銀行、証券、保険の広い業種で業者側にシートの作成を促し、個人客に商品を販売する際に活用させる。活用は義務ではないが、金融庁は顧客本位の業務運営を徹底させるために強く活用を促す考えだ。

「利益相反の可能性」の記入欄も

 金融庁は市場ワーキンググループで「重要情報シート」のたたき台を示した。それによると、シートに記入する項目は、商品の内容、リスクと運用実績、客が販売会社に支払う費用、換金・解約の条件などだ。また、「販売会社の利益と顧客の利益が相反する可能性」も記入することになっている。

 販売会社がシートを活用して顧客に説明すれば、商品内容を詳細に記載した「目論見書」は、客の希望に応じて渡せばよいことにする考え方も示された。契約の注意事項が書かれた「契約締結前交付書面」も同じ扱いだ。

 金融庁は昨年、重要情報シートへのパブリックコメント(意見)を募集し、11月末に締め切った。今後、寄せられた意見を踏まえ、重要情報シート作成の詳細なルールを策定する。

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浪川攻

金融ジャーナリスト

1955年、東京都生まれ。上智大学卒業後、電機メーカーを経て、金融専門誌、証券業界紙、月刊誌で記者として活躍。東洋経済新報社の契約記者を経て、2016年4月、フリーに。「金融自壊」(東洋経済新報社)など著書多数。