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菅政権の「温室ガス2050年ゼロ」実は“30年”が試金石

小西雅子・WWF(世界自然保護基金)ジャパン専門ディレクター
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政府の「グリーン成長戦略」について「経済と環境の好循環を生み出す方向で進めたい」と語る菅義偉首相=首相官邸で2020年12月25日、竹内幹撮影
政府の「グリーン成長戦略」について「経済と環境の好循環を生み出す方向で進めたい」と語る菅義偉首相=首相官邸で2020年12月25日、竹内幹撮影

 昨秋、就任後初の所信表明演説で「温室効果ガスの国内排出を2050年までに実質ゼロにする」と宣言した菅義偉首相。これまで環境対応では後ろ向きと評価されていた日本が名誉挽回する英断であり、国連のグテレス事務総長はじめ世界のリーダーが相次いで歓迎しました。

 その後、なだれを打ったように「50年実質ゼロ」を発表する日本企業が相次ぎました。さらに政府は12月25日、「実質ゼロ」に向けた「グリーン成長戦略」を発表しました。脱炭素化が日本でも主要テーマとなったようですが、日本の本気度は、「50年実質ゼロ」につながる「30年の具体的な削減策」を打ち出せるかどうかにかかっています。

 何より国際的に注目されるのは、温暖化対策で最も障害となる石炭火力をフェードアウトさせる決心が示されるかどうかでしょう。

今夏の「エネルギー基本計画」が焦点

 おりしも21年夏に向けて、政府の30年時点の「エネルギー基本計画」が見直されることになっています。日本の温室効果ガスの9割はエネルギー起源の二酸化炭素(CO2)であるため、どのエネルギーをどの割合で使っていくかを決めるエネルギー基本計画は、日本の温室効果ガスの削減目標を決めることになるのです。

 現状のエネルギー基本計画では、30年度の総発電電力量に占める石炭の割合は26%となっています。省エネや再生可能エネルギーの目標値の低さとも相まって、日本がパリ協定に提出した30年の削減目標は、13年比でたった26%というレベルです。これは国際的に著しく低く、50年ゼロ達成は到底無理です。

 日本でも再生可能エネルギーが急速に増えつつあるとはいえ、電力量に占める割合は2割程度です。果たして…

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小西雅子

WWF(世界自然保護基金)ジャパン専門ディレクター

 神戸市生まれ。米ハーバード大修士課程修了、法政大博士(公共政策学)。中部日本放送アナウンサーなどを経て、2005年に国際NGOのWWFジャパンへ。地球温暖化防止の国際交渉などで施策提言を行う。15年から昭和女子大特命教授を兼務する。東京オリンピック・パラリンピック大会組織委員会街づくり・持続可能性委員会委員、環境省中央環境審議会委員なども務めている。