パナソニック社長交代と組織再編で“巨象は踊る”か?

中村吉明・専修大学経済学部教授
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社長交代の記者会見後、握手するパナソニックの津賀一宏社長(左)と次期社長の楠見雄規氏=大阪市中央区で2020年11月13日、久保玲撮影
社長交代の記者会見後、握手するパナソニックの津賀一宏社長(左)と次期社長の楠見雄規氏=大阪市中央区で2020年11月13日、久保玲撮影

 パナソニックは、リーマン・ショック以降、一時は業績が回復したものの、最近はライバルのソニーや日立製作所に比べると業況がよくない。そんな中、パナソニックは2021年6月に社長兼最高経営責任者(CEO)が交代し、22年4月にカンパニー制からホールディングス(持ち株会社)制へ移行すると発表した。

 なぜ、この時期なのか。勝算はあるのか、考えてみたい。

 まずはタイミング。一般的に日本企業の改革は、米国企業のように雇用調整をドラスティックにできないため、息の長い改革にならざるを得ない。

 リーマン・ショック後、史上最大の赤字となり、その後に復活した日立製作所は、その構造改革を川村隆、中西宏明、東原敏昭各氏の3代の社長兼CEOで成し遂げた。志を同じくする新旧のCEOが、少し違う視点を持ちつつ改革を成し遂げるという手法は、日本企業にふさわしいと感じる。

成長軌道に乗せるラストチャンス

 パナソニックの津賀一宏氏の社長兼CEO在任期間は8年を越え、そろそろ潮時、というよりも若干、遅きに失した感がある。新体制は津賀氏が行った改革を踏まえながら、次期社長兼CEOの楠見雄規氏がさらなる改革を進め、成長軌道に乗せるラストチャンスと考えた方がいいかもしれない。

 また今回、カンパニー制からホールディングス制への移行を発表しているが、これは必然だ。ホールディングス制は個別企業の採算を厳しくみることができ、責任の所在が明らかになり、また採算性のない事業やホールディングス内で親和性のない傘下企業を売却しやすくなる。

 このため、無駄のない効率的な体制を構築することができるのだ。社長の経験が長く、組織を熟知している津賀氏が…

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中村吉明

専修大学経済学部教授

 1962年生まれ。87年、通商産業省(現経済産業省)入省。環境指導室長、立地環境整備課長などを経て、2017年から現職。専門は産業論、産業政策論。主な著書に「AIが変えるクルマの未来」(NTT出版)、「これから5年の競争地図」(東洋経済新報社)など。