産業医の現場カルテ

30代女性「つわりでしんどい」会社に症状を伝えるには

佐藤乃理子・産業医・労働衛生コンサルタント
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 辺見さん(仮名、30代女性)はあるメーカーの営業職で、2年前に結婚しました。この会社の産業医を務める私は、辺見さんから「先日、妊娠していることがわかりました。今3カ月です。新型コロナウイルスの影響で在宅勤務をしていますが、つわりがひどく、仕事がしんどいです」と相談されました。昨年7月のことでした。

上司にはまだ伝えたくない

 妊娠に伴うつわりは、一般的に妊娠初期の5週目くらいから始まり、12~16週(3~4カ月)までに治まります。つわりがひどい場合、食事がうまく取れず、脱水症状や体重減少につながることがあります。重症化すると、入院して治療することもあります。

 辺見さんは現在、産婦人科を4週に1回受診し、妊婦健診を受けています。前回の健診で、つわりの影響もあり体重が減っていることがわかりました。主治医から「4カ月になっても体重の減少が続く場合は入院が必要」といわれたそうです。

 辺見さんのつわりは重症化には至っていませんが、妊娠3カ月はまだ不安定な時期です。「普段は営業で外回りをしていて、それが続いていたら仕事にならなかったと思います」と話します。コロナ禍の妊娠に不安はあるものの、図らずも在宅勤務をしていることで、多少なりとも仕事ができている状況だそうです。

 ただ上司や同僚には、一般的に安定期と…

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佐藤乃理子

産業医・労働衛生コンサルタント

2002年、藤田保健衛生大学医学部卒業。泌尿器科医として病院に勤務しながら、がん治療薬の基礎研究にあたった。10年に厚生労働省健康局へ出向して臓器移植関連の政策に従事し、13年に北里大学医学部に所属し、同大学病院の医療マネジメント、経営企画に参画。15年に日本医師会認定産業医となり、複数の企業の嘱託産業医を務めてきた。20年4月に労働衛生コンサルタントを取得し、幅広く働く人の健康や職場環境の管理に関する相談を受ける。また、東京都檜原村で労働環境やライフスタイルのあり方を提案する「檜原ライフスタイルラボ」の共同代表を務める。