経済記者「一線リポート」

批判受けぬよう先手?日銀が行う金融政策の「点検」とは

安藤大介・毎日新聞経済部記者
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記者会見で金融政策の「点検」について語る日銀の黒田東彦総裁=東京都中央区の日銀本店で2020年12月18日(代表撮影)
記者会見で金融政策の「点検」について語る日銀の黒田東彦総裁=東京都中央区の日銀本店で2020年12月18日(代表撮影)

 「点検する」と言えば、悪い所がないか確認し、あれば直すのが普通だ。だが、日銀が昨年12月に実施すると決めた金融政策の「点検」は趣が異なる。実施前から現在の政策を「適切に機能している」と評価し、その上で「2%の物価目標は変えない」「マイナス金利を見直すこともない」と明言しているためだ。

 では、何のために点検するのか。金融政策に詳しいエコノミストに話を聞き、考えた。

 「『点検』と言い出したことは正直言って驚きだった。今できることって、考えてみてもあまりない」。元日銀理事の早川英男・東京財団政策研究所上席研究員の感想だ。

 日銀は昨年12月18日の金融政策決定会合で、2%の物価目標の実現に向け、現行の金融緩和策を点検することを決めた。3月をめどに結果を公表する。

実はマイナーチェンジで自己肯定?

 黒田東彦総裁は記者会見で「新型コロナウイルスの影響で、経済・物価の下落圧力が長期間継続し、2%の物価安定目標の実現には時間がかかる」と説明。「より効果的で持続的な金融緩和を実施していくための点検を行うこととした」と述べた。

 2016年9月に導入した短期金利をマイナス0.1%、長期金利を0%程度に誘導する現行の金融緩和策について、黒田総裁は「適切に機能している」と説明。2%目標などは変えないと明言し、金利操作や資産の買い入れなどについて「さらなる工夫ができるのであれば実施したい」と述べた。

 従来、日銀が金融政策の点検に乗り出す場合、それは政策の変更につながってきた。16年9月に実施した「総括的検証」は、政策目標を世の中に流すお金の量から金利に移し、13年に黒田総裁が就任して以降の政策の転換点…

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安藤大介

毎日新聞経済部記者

 1977年、愛知県生まれ。慶応大経済学部卒。2002年、毎日新聞社入社。大阪本社経済部などを経て、14年から東京本社経済部。エネルギー業界や日銀、民間企業、経済産業省などを担当。18年から津支局次長。20年10月から東京経済部で日銀、証券、金融庁の取材を束ねるキャップ。