
政府は、新型コロナウイルスの感染拡大に対し、緊急事態宣言を再び発令した。期間は1月8日から2月7日まで。対象地域は東京都、神奈川、埼玉、千葉県の1都3県だが、大阪府、京都府、兵庫県の2府1県にも発令されそうで、さらに愛知県、岐阜県も加わる可能性がある。
前回の緊急事態宣言は9.9兆円の損失
再びの緊急事態宣言に、最初の宣言を出した昨年4~5月の経済打撃が大きかったことを思い出す。2020年4~6月期の実質GDPは前期比年率でマイナス29.2%と大幅な下落だった。ただ、この数字は年率換算値なので、実際よりも約4倍ほど膨らんでいる。
そこで筆者が実額で計算すると、4~6月期は前年同期に比べて実質GDPは14兆円落ちていた。この中には、外需の下落(マイナス4.7兆円)、官公需の押し上げ分(プラス0.8兆円)などが含まれている。それらを除いた民間内需の減少分は9.9兆円だった。1四半期で9.9兆円のマイナスは、過去に類を見ない落ち込みである。
前回よりインパクトは小さい
前回の緊急事態宣言は、20年4月7日から5月25日までの49日間発令された。その中で47都道府県全体に発令されたのは4月16日から5月13日の28日間であった。
一方で今回は、活動制限の内容も、酒類を提供する飲食店の営業時間が午後8時までになることが主になる。学校の一斉休校は行わず、イベントの規制なども緩やかなものになっている。
そうした適用範囲の違いを考慮して計算すると、1都3県だけの場合、今回の経済損失は、前回の約半分(43%)になりそうだ。この数字は、関西の2府1県が加わると、6割(59%)にまで広がり、愛…
この記事は有料記事です。
残り790文字(全文1486文字)
投稿にはログインが必要です。
注目コンテンツ