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私立高校の授業料実質無償化とイデコが関係する理由

岩城みずほ・ファイナンシャルプランナー
 
 

 地方在住の会社員A郎さん(51)は専業主婦の妻(53)と、今年4月に高校に入学する娘と中学生の息子の4人暮らしです。娘は私立高校への入学を希望しています。私はA郎さんから「2020年度から始まった私立高校授業料の実質無償化とイデコの利用が関係すると聞きました。どういうことでしょうか」と相談されました。

高校の授業料を支援する制度

 結論からいうと、世帯収入の額とイデコの利用の関係で、私立高校などに通う生徒に国から支給される支援金の額が増えるケースがあります。

 現在、国には親の所得に応じて高校の授業料を支援する「高等学校等就学支援金制度」があり、全国の約8割の生徒が利用しています。国公立高校の授業料は、この支援金の限度内(年額11万8800円)に収まるため実質無償となっていますが、授業料の高い私立高校の場合、支援金との差額を保護者が負担することになっていました。

 同制度が改正され、20年度から世帯収入が一定未満の場合、支援金の上限額が上がり、39万6000円(全日制の場合)になりました。

 イデコを利用すると積み立てた金額分の税額控除を受けられ、課税所得が下がります。そして、私立高校の生徒への支援金は、両親(世帯)の課税所得を用いた、後述の計算式で支給額が決まります。計算式からの算出額次第で、支…

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ファイナンシャルプランナー

CFP認定者、社会保険労務士、MZ Benefit Consulting 代表取締役、オフィスベネフィット代表、NPO法人「みんなのお金のアドバイザー協会」副理事長。金融商品の販売によるコミッションを得ず、顧客本位の独立系アドバイザーとして、家計相談、執筆、講演などを行っている。著書に「結局、2000万円問題ってどうなったんですか?」(サンマーク出版)など多数。