
政府は2020年末、30年代半ばまでに乗用車の新車販売をすべて「電動車」とする方針を掲げた。50年までに二酸化炭素(CO2)など温室効果ガスの排出量を実質ゼロにする目標に向け、エンジンだけで走る従来車の新車販売をなくす政策だ。発表された文書には、ガソリン車販売の「禁止」とまでは記されなかったが、政府関係者はこう解説する。「いろんな規制をすれば、そうなりますから、事実上の禁止ですよ」
経済産業省は本気
今回の政府方針は、本気度120%だ。複数の政府関係者の口から出てくる言葉は、一様に同じだった。「産業界と合意して決めるような話ではないという問題意識がある」「業界がこの方針に反発したとして『分かりました』と応じたら、そんな経済産業省はいらないよ」。政府はそれだけの覚悟を持って今回の方針を打ち出している。政府の存在意義とは何か。そこには官僚たちの矜持(きょうじ)も垣間見える。
「首相は自動車政策が好きですよ。結構、こだわりがある」と首相周辺は打ち明ける。政府の敷いたレールの終着駅となる温室効果ガスの排出量実質ゼロという目標は、世界的な潮流だ。日本も先進国である以上、この流れから抜け出すことはできない。
HV淘汰は「必然」
政府の言う「電動車」とは、電気自動車(EV)、燃料電池車(FCV)、ハイブリッド車(HV)、プラグインハイブリッド車(PHV)を指す。世界的に見て技術的に優位な位置にあるHVは含めたが、モーターとエンジンを併用して排ガスを出す以上、HVもこのままゴール地点で生き残ることは難しいのが現実だ。「最終的に必然の流れになっていくのであれば、できるだけ早く準備した方が、…
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