
スルガ銀行の投資不動産向け不正融資問題で、「被害弁護団」は昨年12月23日、東京都内で記者会見し、シェアハウス「かぼちゃの馬車」の購入者が東京地裁に申し立てた民事調停の進捗(しんちょく)状況を報告した。
シェアハウス問題で被害弁護団は昨年3月、購入者がスルガ銀行から借りた借金を、物件の代物弁済によって相殺処理することで銀行と合意した。この結果、このときに民事調停を申し立てていた購入者257人(第1次調停分、シェアハウス343棟)のスルガ銀行からの借入金約440億円は帳消しになった。
その後、この解決を知り新たに交渉を委託してきた購入者275人(シェアハウス348棟、借入金約450億円)について、弁護団は昨年8~10月にかけて第2次の民事調停を申し立てた。
第3次調停を準備中
この第2次調停も、第1次と同様の解決に向けて現在、銀行との協議を進めている。第1次と第2次を合わせると購入者は532人、シェアハウスは691棟、借入金は約890億円になる。
シェアハウス向け融資は、銀行側の調査で全体で購入者は約1200人、金額は2000億円ほどだった。これに対し、第1次と第2次調停分は、人数でも借入金でも4割強になる。
この日弁護団が会見で明らかにしたのは、第1次と第2次の調停に参加していないが、同一の解決を希望しているシェアハウス購入者があと100人ほどいるということだ。弁護団は、この購入者についても今年春ごろに、第3次の調停申し立てを行う方向で準備を進めているという。
弁護団は「これ以外にも救済を求めている人がいる」と説明した。スルガ銀行の借金でシェアハウスを購入した後、より低金利…
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今沢真
経済プレミア編集長
1983年毎日新聞入社。89年経済部。日銀・財研キャップ、副部長を経て論説委員(財政担当)。15年経済プレミア創刊編集長。19年から同編集部。22年4月に再び編集長に。16年に出版した「東芝 不正会計 底なしの闇」(毎日新聞出版)がビジネス部門ベストセラーに。ほかに「東芝 終わりなき危機」など。16~18年度城西大非常勤講師。