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孫への「教育資金の一括贈与」9年目の相続節税封じ

渡辺精一・経済プレミア編集部
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「税制改正」これからどうなる(1)

 2021年度の税制改正では、21年3月で期限切れを迎える「教育資金の一括贈与特例」の扱いが注目された。与党税制改正大綱は期限の2年延長で決着したが、富裕層の相続対策に活用されているという批判に応え、「節税封じ」のために運用を厳しくした。何が問題だったのか。

子育て世代への資産移転

 教育資金の一括贈与特例は、祖父母や親から30歳未満の孫や子に教育資金を贈る場合、孫や子1人あたり1500万円までなら贈与税を非課税とする制度。13年度に6年間の期限付きで始まり、その後2年延長された。

 個人から贈与を受けると、年間110万円を超えれば贈与税がかかる。通常1500万円をもらえば贈与税は400万円前後になる。特例の非課税枠は大きい。

 特例を利用するには、信託銀行など金融機関に専用口座を作る。祖父から孫に資金を贈与する場合なら、孫名義で口座を設け、祖父が口座に資金を託す。孫が入学金や授業料など教育資金が必要になるたびに口座から引き出す仕組みだ。

 特例は、高齢層に偏る金融資産を若い世代に移転する経済政策として導入された。

 人が亡くなれば、財産は相続を通じて次世代へと引き継がれる。だが、高齢化が進むなか、財産を受ける相続人の年代も高くなっている。財務省によると、30年前は相続人の6割を40代以下が占めたが、最近は7割が50代以上の「老老相続」とみられる。

 そこで、贈与を通じて、教育費負担の重い子育て世代への資産移転を早め、資金に余裕ができたぶんを消費に回してもらい、景気浮揚につなげるシナリオだ。

 特例は導入直後から予想を超える人気となった。制度を活用した…

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渡辺精一

経済プレミア編集部

1963年生まれ。一橋大学社会学部卒、86年毎日新聞社入社。大阪社会部・経済部、エコノミスト編集次長、川崎支局長などを経て、2014年から生活報道部で生活経済専門記者。18年4月から現職。ファイナンシャルプランナー資格(CFP認定者、1級FP技能士)も保有。