イマドキ若者観察

若者の恋愛・車離れ「スマホのせい」は本当なのか

藤田結子・明治大商学部教授
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スマホやSNSが若者に与える影響が議論を呼んでいる
スマホやSNSが若者に与える影響が議論を呼んでいる

 最近、スマートフォンの悪影響を告発する本が話題です。実は欧米では、2010年代からスマホやSNSが若者にもたらす悪影響について多数の研究が行われてきました。うつ病のリスクだけでなく、「恋愛離れ」「車離れ」もスマホやSNSが原因だという議論もあります。日本の若者にも当てはまるのでしょうか。

「スマホ世代」はストレス感じる

 日本でベストセラーとなっている「スマホ脳」(アンデシュ・ハンセン著、新潮新書)。著者はスウェーデンの精神科医で、スマホを長く使う若者ほど、睡眠障害やうつ、ストレスを感じると述べています。子どもよりも10代の若者の方が、スマホと心の不調が結びついていて、その理由を「SNSが常に他人との比較をさせるから」だといいます。

 若者たちが、他人の充実した生活や、加工された完璧な写真をSNSで目にして、嫉妬や孤独を感じ、「インスタグラムの投稿を見て、自分が魅力的ではないと感じるようになった」というのです。

 アメリカでは「iGen」(=スマホ世代)という本が2017年に賛否両論を巻き起こしました。著者で心理学者のジーン・トゥウェンギ教授は、1995~2012年の間に生まれた世代(2021年に9歳から26歳)を「iジェネレーション(iGen)」と名付けました。この本は、「iGen」は上のどの世代とも違うと主張します。

欧米では論争も

 トゥウェンギ教授によると、スマホ世代では、以前は対面で行われていたやりとりがSNSにとってかわられ、うつ病が増加したといいます。アメリカの高校生のデート経験が、その親世代と比べて3割減少したという調査データも示しています。また、運転免許を取得する…

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藤田結子

明治大商学部教授

東京都生まれ。慶応義塾大を卒業後、大学院留学のためアメリカとイギリスに約10年間滞在。06年に英ロンドン大学で博士号を取得。11年から明治大学商学部准教授、16年10月から現職。専門は社会学。参与観察やインタビューを行う「エスノグラフィー」という手法で、日本や海外の文化、メディア、若者、消費、ジェンダー分野のフィールド調査をしている。