高齢化時代の相続税対策

バブルからコロナへ「相続対策」大きく変わった30年

広田龍介・税理士
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 相続対策は経済や社会を映し出す鏡だ。この30年ほど、相続対策で受けてきた相談を振り返ると、対策の手法や内容は、時代の流れとともに大きく変化してきたと実感する。

節税の王道だった不動産投資

 まず、相続対策の手法だ。バブル期には、節税対策として不動産投資が盛んに行われていた。

 相続税は累進税率であるため、地価や株価の上昇に伴って相続税評価額が上昇すると、それを上回る税負担がのしかかる。

 そこで相続節税として、不動産投資がメインとなった。不動産の相続税評価額は時価の8割という評価ギャップがあり、それを利用する手法だ。

 投資資金がなければ、借入金で不動産を取得した。借入金の返済計画は、契約更新ごとに賃料が上昇していく内容になっていたため、多額の借り入れでも安心して行うことができた。なにより「地価は上昇する」という土地神話があったため、迷いはなかった。

 だが、バブルは崩壊した。節税対策として不動産投資を行った資産家は、その後始末に追われることになった。膨らんだ借入金の返済は厳しいものだった。

 バブル崩壊後の相続では、相続人の1人だけが全財産を相続し、他の相続人は相続放棄をするケースも多かった。全財産を相続した人は、資産と負債を評価し、最終的に債務超過であれば、自己破産を選択した。財産整理のために犠牲になる捨て身の対応だった。

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 また、高齢化とともに相談内容も変わってきた。相続対策をする人の年齢が高くなり、健康や介護に関わるものが増えている。

 介護が必要になったり、認知症になったりした場合への対応として、財産管理や遺言書の作成、家族信託の手続きなどに早…

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広田龍介

税理士

1952年、福島県いわき市生まれ。85年税理士登録。東京・赤坂で広田龍介税理士事務所を開設。法人・個人の確定申告、相続税申告、不動産の有効活用などを中心に幅広くコンサルティング活動を続けている。相続税に関する講演やセミナーも開催している。