ニッポン金融ウラの裏

「退職金の受け皿」ファンドラップが運用難で伸び悩み

浪川攻・金融ジャーナリスト
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東京証券取引所がある日本取引所グループのビル
東京証券取引所がある日本取引所グループのビル

 長期の資産形成サービスとして提供されている「ファンドラップ」を見直そうという機運が、証券会社などの間で高まりつつある。多くの収益を望める市場環境ではないため契約が伸び悩み、テコ入れが必要になっているからだ。何が問題なのかを紹介する。

 ファンドラップを扱っているのは証券会社のほか銀行や信託銀行だ。顧客はこうした業者にお金を預け、いつどのように投資するかを一任する。「積極的」「保守的」など運用コースが分かれており、客は自分がどれだけリスクを許容できるか考えてコースを選択する。コースごとに「期待リターン(期待される収益率)」が示されるが、あくまで「期待」である。

 預けるお金は数百万円以上が多く、サラリーマンの退職金や、相続でまとまったお金が入った時の受け皿として期待され、4、5年前には残高が急伸していた。

多くの顧客は「保守的」な運用コース選択

 ファンドラップは契約している期間に応じて顧客が報酬(フィー)を支払う仕組みだ。投資信託を購入する場合は販売手数料を支払うが、それとは異なる。これは、ファンドラップが投資信託のような「金融商品」ではなく、運用を任された業者が運用内容を変更していく「運用代行サービス」という位置付けだからだ。

 そうした位置づけにもかかわらず、業者は往々にして、投資信託と同列に置いた商品ラインアップの一つとして売りがちだ。そのことが、米国と比べファンドラップが伸びない一因になっていると指摘されている。

 多くの顧客は「保守的」あるいは「やや保守的」という運用コースを選択しているという。この場合、業者側は安全資産とされる債券型の投資信託を主に組み込んで運用してきた。…

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浪川攻

金融ジャーナリスト

1955年、東京都生まれ。上智大学卒業後、電機メーカーを経て、金融専門誌、証券業界紙、月刊誌で記者として活躍。東洋経済新報社の契約記者を経て、2016年4月、フリーに。「金融自壊」(東洋経済新報社)など著書多数。