職場のストレス・マネジメント術

上司にいわれて禁煙「モヤモヤする」のはナゼなのか

舟木彩乃・産業心理コンサルタント・カウンセラー
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喫煙場所は次第に限られてきている=益川量平撮影
喫煙場所は次第に限られてきている=益川量平撮影

 前田さん(仮名、男性30代半ば)は、損害保険会社の企業営業部門(20人)で働いています。厳しい営業ノルマがあり、担当する顧客によっては苦労が多く、ストレスがたまりやすい部署です。前田さんの場合、そのストレスを解消する方法はたばこを吸うことでした。

 前田さんが喫煙を始めたのは、入社して間もないころ、先輩に喫煙スペースに誘われたことがきっかけでした。喫煙スペースには、いろいろな部署から社員が集まるので、そこが情報交換の場として仕事にプラスになることを知った前田さんは、自分もたばこを吸い始めたのです。

 頻繁に喫煙スペースに通うようになると、やがてそれが習慣となり、会社で1日に5回程度、家でも気分転換でたばこを吸うようになりました。

上司が禁煙すると一転……

 新型コロナウイルスの感染拡大以降、喫煙スペースは人数制限されるようになり、もともと社員の喫煙率が高かったこともあって、時間帯によっては列ができることもありました。その結果、前田さんは、喫煙に費やす時間が徐々に増えていくことにもなりました。

 しかし、会社側は社員の健康を守るため、以前から禁煙キャンペーンを実施していて、いずれは喫煙スペースを閉鎖する方向で調整していました。

 上司のA課長はたばこを吸い、部下の喫煙に対しても寛容でした。しかし最近、会社の方針を受け入れ禁煙に成功すると一転、前田さんたち部下にも早くたばこをやめるよう説得し始めました。

 そのため、喫煙しない同僚から冷たい視線を感じたり、禁煙に成功した課長から“できない人”に見られていないか心配になったりして、次第に喫煙スペースに行きにくくなったそうです。

ニコチン依存…

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舟木彩乃

産業心理コンサルタント・カウンセラー

 筑波大学大学院博士課程修了(ヒューマン・ケア科学博士)。一般企業の人事部などを経て、現在メンタルシンクタンク(筑波大学発ベンチャー企業)副社長。金融庁職員のメンタルヘルス対策にも従事する。国家資格として公認心理師、精神保健福祉士、第1種衛生管理者、キャリアコンサルタントなど保有。著書に「『首尾一貫感覚』で心を強くする」(小学館新書)。