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再び緊急事態宣言でも「日経平均3万円予想」の理由

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 日経平均株価は1月13日の東京市場で、4連騰の2万8456円で取引を終えた。2営業日前の1月8日には、新型コロナウイルス感染拡大の影響を受けて、東京都など首都圏1都3県に緊急事態宣言が再発令されたにもかかわらず、実に30年ぶりの2万8000円台に乗せた。株価が強い動きを示す中、野村証券は12日「2021年末の日経平均予想を3万円に上方修正」するリポートを出した。

 同社は日経平均が2万3000円台から2万4000円台へと急上昇していた20年11月上旬、「21年末の日経平均予想を2万8000円、年間レンジは2万4500〜3万500円」と想定していた。しかし、米ジョージア州上院議員選で民主党が2議席を獲得して、大統領、上下院を制した「ブルーウエーブ」によって、バイデン次期政権が機動的な景気対策を打てるようになったことなどを受け、「年末年始で大きな変化を遂げた」として、「21年末は3万円、年間レンジは2万6000〜3万2000円」に修正した。

 日本株の上昇は、世界的な金融緩和と財政出動によるカネ余り、ワクチン開発加速が主因ではあるが、個別企業の業績回復や上方修正を反映した動きも目立つ。投資家は都合の良い解釈をする一方で、20年度ではなく、21年度の業績改善を見据えている。ここにコロナ再拡大の中で、株価が続伸するギャップが生じているのだ。

 産業用ロボット・工作機械の安川電機の株価は1月13日、約3年ぶりの高値となる5660円で取引を終えた。前日の21年2月期第3四半期(20年3〜11月期)決算発表で、当期の連結最終(当期)利益予想を前期比16%増の180億円に上方修正したことが好感された。第3四半期で、中国向け売り上げ収益が前年同期比12・8%増だったことも、回復ぶりを印象づけた。

 小売り大手のイオンは20年12月24日に、上場来高値を更新した。前日23日に、「業績は全社で期初の想定より前倒しで回復」として営業利益を上方修正していた。

市場の注目は21年度

 それでも1回目の緊急事態宣言発令時(4〜5月)には、実体経済を大きく落ち込ませ、株価も大きく下げた。発令された4〜6月の実質GDP(国内総生産)成長率は前期比年率29・2%減と大打撃となった。その前後の日経平均を見ると、3月19日に年初来安値(1万6552円)まで下落した後、いったん持ち直したが、緊急事態宣言が取り沙汰された4月2日に2番底(1万7818円)を付けている。実体経済の落ち込みを見越しての下落だった。

 今回の緊急事態宣言では、今のところ地域が限られていることや、百貨店の食料品以外の店舗や遊園地などのレジャー施設が時間を短縮するとはいえ営業している。市場は「経済・株価への影響は相対的に小さい」と受け止めているようだ。

 岡三証券の松本史雄チーフストラテジストは「21年通年で見れば、いずれワクチン効果で緩やかな株価上昇を描く」との前提は置きつつ「再度の緊急事態宣言による国内消費の落ち込みや、自動車業界で顕在化している半導体不足は、目下のリスク要因」と指摘する。

 その上で「中期では、企業が業績回復をどう予想するかが決め手。株価は業績予想を織り込む」と語る。着目すべきは、コロナに見舞われた20年度決算ではなく、21年度の見通しだ。

(編集部)

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