職場のトラブルどう防ぐ?

「在宅勤務手当」国が示した非課税計算式が複雑すぎる

井寄奈美・特定社会保険労務士
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 A子さん(45)は従業員数約60人のウェブサイト制作会社の経理・総務責任者で、社内規定の整備や給与計算を担当しています。会社は、新型コロナウイルスの感染対策で在宅勤務制度を正式に導入し、1日200円の在宅勤務手当を支給しています。

 在宅勤務手当については給与計算で、他の手当と同様に全額を課税扱いとし、残業代の計算のもとになる基礎賃金に含めています。しかし、国税庁が1月15日に「在宅勤務に係る費用負担等に関するFAQ」を示し、光熱費や通信費などの実費相当分の一部を非課税扱いにできるとしたため、A子さんは今後の対応について悩んでいます。

在宅勤務制度を導入

 A子さんの会社は、昨年3月から暫定的に在宅勤務を始め、その後正式に在宅勤務制度を導入しました。

 会社は暫定的に在宅勤務を始めたときから、従業員に会社のパソコンやスマホを貸与する一方で、在宅勤務で使う光熱費や通信費は従業員の負担としていました。そのため、一部の従業員から、光熱費などの一部を負担してほしいという声が上がっていました。

 ただ光熱費などは、業務と家事でそれぞれ使った分を明確にするのが困難です。そのため、在宅勤務規定を作成し、1日200円の手当を支給することを決めました。通勤手当は、出社した際の実費分を支給します。

 今回、国税庁から、…

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井寄奈美

特定社会保険労務士

大阪市出身。2015年、関西大学大学院法学研究科博士前期課程修了。現在、大阪大学大学院法学研究科博士後期課程在籍中(専攻:労働法)。01年、社会保険労務士資格を取得。会計事務所勤務などを経て06年4月独立開業。井寄事務所(大阪市中央区)代表。著書に『トラブルにならない 小さな会社の女性社員を雇うルール』(日本実業出版社)など。http://www.sr-iyori.com/