高齢化時代の相続税対策

両親の遺した家で同居「仲良し3姉妹」の60代の別れ

広田龍介・税理士
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 60代の3姉妹はこの7年、両親の残した家に3人で仲良く暮らしてきた。だが、皆、還暦を過ぎ、老後をどう生きるかという考え方が食い違うようになってきた。問題は3人の共有であるこの家をどうするかだ。長女と次女は家を売って現金化したいが、三女はここに住み続けたい。意見は分かれ、溝が深まっている。

家を出た長女と次女

 3姉妹の両親は50年前にマイホームを買い、一家5人でここに引っ越してきた。家の土地・建物は両親2分の1ずつの共有持ち分。10代だった3姉妹はすっかり家が気に入り「ずっとここにみんなで暮らせればいいね」と話したものだった。

 だが、長女は間もなく結婚して独立し、次女も仕事をするようになると「自立したい」と家を出た。デザイン関係の職に就いた三女だけは両親と同居を続け「一生独身」を宣言してきた。

 20年前、高齢になった両親は老後を考え、家の建て替えを考えた。そこで気がかりだったのが長女のことだ。長女は夫と別居して賃貸アパートで一人暮らしをしながら離婚の話し合いを進めていた。両親は「離婚が成立したら家に戻らないか」と持ち掛け、長女は受け入れた。

2世帯住宅で「5人家族」再び

 両親と長女、三女の4人家族となるのを前提に、家は2世帯住宅に建て替えることになった。木造2階建てで、1階は両親が主に使う3LDKとバス・トイレ、2階は洋室2部屋とトイレがあり、これとは別に独立した玄関を構える別世帯部分として1LDKとバス・トイレがあるという設計だ。

 新しい家の土地・建物は、これまで同様、両親それぞれ2分の1の持ち分とした。別世帯は区分登記もできたが、1棟の建物として登記した。

 こうして4人…

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広田龍介

税理士

1952年、福島県いわき市生まれ。85年税理士登録。東京・赤坂で広田龍介税理士事務所を開設。法人・個人の確定申告、相続税申告、不動産の有効活用などを中心に幅広くコンサルティング活動を続けている。相続税に関する講演やセミナーも開催している。