経済記者「一線リポート」

GDPを2度押し上げる「鬼滅の刃」大ヒットの波及効果

赤間清広・毎日新聞経済部記者
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映画館の外壁に掲げられた「鬼滅の刃」の広告=横浜市西区で2020年11月18日、丸山博撮影
映画館の外壁に掲げられた「鬼滅の刃」の広告=横浜市西区で2020年11月18日、丸山博撮影

 世界各国の経済力を測る指標となっている国内総生産(GDP)。しかし、「どういうものなのか」と聞かれると、口ごもってしまう人が多いだろう。

 昨年秋にGDPの基準が改定された結果、アニメ映画などが大ヒットした「鬼滅の刃」が日本のGDPをさらに押し上げる可能性が出てきたらしい。

 よくニュースで目にするが、ちょっと難しいGDPについて、実際に統計をまとめている内閣府経済社会総合研究所の谷本信賢・国民経済計算部長に聞いた。

そもそもGDPとは

 そもそもGDPとは何か。内閣府のホームページには「国内で一定期間内に生産されたモノやサービスの付加価値の合計額」とある。でも、付加価値とは何だろう? 売り上げとはどう違うのだろうか?

 「簡単な例で説明しましょう」と谷本部長が挙げたのが、パン屋が30円で小麦を仕入れ、それで100円のパンを作って販売したケースだ。

 売り上げだけを見ると、パンが1個売れると、小麦農家の30円と、パン屋の100円の計130円の売り上げが立ったことになる。

 しかし、パン屋の売り上げの100円の中には、原料費の30円分が入っている。これは小麦を生産した農家が生み出した付加価値のため、パン屋自体が生んだ付加価値は100円から原料費分を除いた70円になる。

 パン1個で生み出された付加価値は、小麦を生産した農家の30円分と、パン屋の70円分の計100円分となる計算だ。

 こうした入り組んだ推計を、各産業ごとにモノやサービスがどう生み出されているかを調べて積み上げたものがGDPだ。

新たに「娯楽作品原本」も

 しかし、時代の変化とともに新しい産業が次々と生み出される中、「付加価値」をうまく…

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赤間清広

毎日新聞経済部記者

 1974年、仙台市生まれ。宮城県の地元紙記者を経て2004年に毎日新聞社に入社。気仙沼通信部、仙台支局を経て06年から東京本社経済部。16年4月に中国総局(北京)特派員となり、20年秋に帰国。現在は霞が関を拠点に、面白い経済ニュースを発掘中。新著に「中国 異形のハイテク国家」(毎日新聞出版)