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「在職老齢年金は損?」定年を迎える60歳男性の疑問

岩城みずほ・ファイナンシャルプランナー
 
 

 教員のA夫さん(60)は今年3月の年度末で定年を迎えます。その後は継続雇用で働く予定です。専業主婦の妻(55)と2人暮らしで、65歳まで継続雇用を希望していますが、「その場合、在職中に支給される老齢厚生年金の額が減ると聞きました。また妻の年齢などがかかわる加給年金もよくわかりません。損しない方法を教えてください」と私のところへ相談に来ました。

在職老齢年金と加給年金

 公的年金の支給開始年齢は原則65歳ですが、生年月日により65歳になる前に「特別支給の厚生年金」を受給できます。対象は男性が1961年4月1日生まれまで、女性が66年4月1日生まれまでの人です。A夫さんは60年11月生まれで、64歳から厚生年金を受け取ることができます。

 60歳以降も厚生年金に加入して働く人が、特別支給の厚生年金を受給する場合、報酬と年金月額に応じて、年金の全部または一部が支給停止されます。この制度を「在職老齢年金」といいます。

 多くの人が、定年前に在職老齢年金の説明を受けますが、妻の年齢などがかかわる加給年金の仕組みとその関係などがわかりにくく、私のところにはたびたびこうした相談が寄せられます。今回と次回で、在職老齢年金と加給年金について説明します。

 在職老齢年金は、現時点では、年金の支給停止の仕組みが60歳代…

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ファイナンシャルプランナー

CFP認定者、社会保険労務士、MZ Benefit Consulting 代表取締役、オフィスベネフィット代表、NPO法人「みんなのお金のアドバイザー協会」副理事長。金融商品の販売によるコミッションを得ず、顧客本位の独立系アドバイザーとして、家計相談、執筆、講演などを行っている。著書に「結局、2000万円問題ってどうなったんですか?」(サンマーク出版)など多数。