ニッポン金融ウラの裏

金融庁が「サステナブルファイナンス」の議論スタート

浪川攻・金融ジャーナリスト
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金融庁=2016年6月20日、中村琢磨撮影
金融庁=2016年6月20日、中村琢磨撮影

 「サステナブルファイナンス」という言葉が注目されている。「サステナブル」とは「持続可能」の意味だ。地球環境対策や社会的課題の解決を目的とする企業の資金調達を指す。ESG(環境、社会、企業統治)やSDGs(持続可能な開発目標)といった目標に沿って、企業活動が持続可能な社会に貢献すべきだという考え方に基づいている。

 金融庁は1月21日、「サステナブルファイナンス有識者会議」と名付けた会議体を設置した。政府が「2050年までに温室効果ガスの排出を実質ゼロにする」との目標を掲げたことを受け、金融界、産業界、学者などをメンバーとして、金融資本市場が政府目標に沿って機能するための方策を話し合う。

債券、銀行借り入れの領域で拡大

 サステナブルファイナンスは、もともと債券や銀行借り入れの領域で広がってきた。環境対策のために債券を発行して資金調達を行う「グリーンボンド」がその一例だ。債券や銀行借り入れは「サステナブルファイナンス」に適していた。それは、使い道を明確にして資金調達をすることが可能であり、調達後も他の債券や借り入れと区別して評価できるからだ。

 債券であれば「第○回債」のように発行ごとに案件が特定されるし、流通市場に出回った後もその企業が発行した他の社債と区別できる。銀行借り入れも、銀行がその資金使途を常にチェックしている。

 一方、増資など株式発行を伴う資金調達の場合はそうはいかない。株式を発行する際には使い道を特定することが可能だが、その後は他の株式と区別されずに売買されていく。ESGやSDGsに貢献する使われ方なのかという市場評価が困難なのだ。このため、これまでのところサステナ…

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浪川攻

金融ジャーナリスト

1955年、東京都生まれ。上智大学卒業後、電機メーカーを経て、金融専門誌、証券業界紙、月刊誌で記者として活躍。東洋経済新報社の契約記者を経て、2016年4月、フリーに。「金融自壊」(東洋経済新報社)など著書多数。